ヘンリー王子のバルコニー不在が物語る、断絶と不安な将来
Prince Harry Balcony Absence Reveals Stark Reality About His Future
戴冠式でヘンリーは王室メンバーの最後列に追いやられた(5月8日、ウェストミンスター寺院) BEN STANSALL/REUTERS
<父チャールズ国王の戴冠式に参列したヘンリー王子は、バルコニーに呼ばれることなく、空港に直行した。この日の彼の行動は、英王室との断絶と自立の必要性を意味している>
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イギリスのチャールズ3世とカミラ王妃が戴冠したばかりの王冠を被ってバッキンガム宮殿のバルコニーに姿を現したとき、ヘンリー王子はすでにアメリカへの帰国の途についていた。
ヘンリーは父の戴冠式が終わるとすぐさま会場を出た。カリフォルニアに戻って息子のアーチー王子の4歳の誕生日を祝い、娘のリリベット王女に会うためだ。ヒースロー空港に到着したところで、ディオールのモーニングスーツを着て、勲章を付けたままの姿を写真に撮られた。
戴冠式が行われるウェストミンスター寺院に入場する際、アンドルー王子と娘のユージェニー王女、ベアトリス王女と同じグループだったことからして、ヘンリーはもともと、バルコニーに立つことはなかったと思われる。
アンドルー王子と2人の娘はいずれもフルタイムで公務をこなす王族ではない。戴冠式での席次はヘンリーと同じ列だったが、彼らも他のバルコニーに出ることはなかった。
また、イギリスのマスコミでは、ヘンリーが宮殿での昼食会に招待されたが、出席を確認していないという噂が流れていた。
チャールズとカミラの結婚式の写真を撮った写真家ヒューゴ・バーナンドが、バルコニーに登場した王室メンバーの公式集合写真を撮影したが、案の定そこには早々にイギリスを去ったヘンリーの姿はなかった。
アメリカでも人気急落
この日のできごとは、ヘンリーの将来が王室から完全に切り離されたことを意味し、王室との関係だけでなく、現在ヘンリーが暮らすアメリカにおける王子としての立場にも影響を与えることになるだろう。
ネットフリックスのドキュメンタリー番組『ハリー&メーガン』やヘンリーの回顧録『スペア』など、ヘンリー夫妻は昨年12月から今年1月にかけて、王室に新たな猛攻を仕掛けた。だがこれによって通常は彼らを支持するアメリカのメディアも批判的になり、コメディアンからは嘲笑され、2人の人気は急落した。
ここで得られた教訓は、現役王族時代に困難な経験をしたからといって、王室を離脱後何年も、際限なくその経験を金儲けに使い続ければ人々は離れていくということだった。
戴冠式において、ヘンリーの席次は前から3列目だったが、これは王室メンバーとして最後列にあたる。それはヘンリーが好き勝手に王室との関わりを更新暴露するためにイギリスに戻ることは許さない、という重要な点を浮き彫りにするための周到なお膳立てのように見えた。
このような王室の態度は、それほど目新しい話ではないかもしれない。だが、ヘンリーが兄のウィリアム王子や他の王族とともに葬列に加わった2022年9月のエリザベス2世の葬儀や関連行事のときと比べて、5月6日の戴冠式ではその態度がよりあからさまになっていた。