最新記事
選挙

トルコ大統領選、エルドアンが52.1%得票し勝利 長期政権継続へ

2023年5月29日(月)10時19分
ロイター
トルコのエルドアン大統領

トルコ大統領選は5月28日に決選投票が行われ、現職エルドアン大統領(写真)が、野党統一候補クルチダルオール氏の得票を上回り勝利した。アンカラで撮影(2023年 ロイター/Umit Bektas)

トルコ大統領選は28日に決選投票が行われ、現職エルドアン大統領(69)が、野党統一候補クルチダルオール氏の得票を上回り勝利した。約20年にわたりトルコを率いたエルドアン氏の政権がさらに5年間続くことになる。

当局のデータによると、エルドアン氏の得票率は52.1%、クルチダルオール氏は47.9%となり、国民の分断を浮き彫りにした。クルチダルオール氏は「近年で最も不公正な選挙」と主張したが、結果に異議を唱えることはしなかった。

野党はエルドアン氏が自身の権力を拡大することで民主主義を弱体化させたと主張してきた。

エルドアン氏はアンカラで勝利演説し、全ての対立を忘れて国家全体の価値感と理想の下で結束するよう呼びかけたが、その後にトーンを変えて野党を性的少数者(LGBT)寄りなどと批判し、クルチダルオール氏がテロリストに味方していると根拠を示さず主張した。

また、インフレがトルコの最も喫緊な課題だと述べた。

トルコ以外の北大西洋条約機構(NATO)加盟国はエルドアン氏がロシアのプーチン大統領と近い関係にあることに警戒を強めていたため、クルチダルオール氏の敗北に失望するとみられる。

プーチン氏はエルドアン氏を「親愛なる友」と呼んで祝意を伝えた。

バイデン米大統領はツイッターに「NATO同盟国として2国間の問題や共通の国際的課題について引き続き協力することを楽しみにしている」と投稿した。

エルドアン氏は結果判明後、イスタンブールで支持者に「きょうの勝者はトルコだけだ」とし、「あと5年間、国を治める責任を再び与えてくれた国民に感謝する」と述べた。

選挙戦でエルドアン氏は、民族主義的で保守的な政策で有権者にアピールしていた。

一方のクルチダルオール氏は、民主主義の重要性などを指摘し、変革を訴えた。同氏は、権威主義的な政権を変えようとする人々の意思が投票により示されたと述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中