最新記事
ウクライナ情勢

謎の爆発で民間人が死亡、黒海艦隊にドローン攻撃も──クリミアで相次ぐ謎の攻撃は反転攻勢の前触れか

Mysterious Crimea Explosion as Russia Prepares for Ukraine Assault

2023年4月26日(水)16時14分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ロシア黒海艦隊の母港セバストポリを襲うドローンと応戦するロシア軍(4月23日〜24日) Mail Online/YouTube

<ウクライナの反転攻勢に備えてロシアがクリミア半島の防御を固めるなか、謎の爆発事件が多発して緊張が高まっている>

黒海につきだしたクリミア半島の南東部で謎の爆発が発生し、住民の死亡が確認された。地元メディアが報じた。

国内の治安に関する情報を定期的に配信しているロシアのテレグラム・チャンネル「バザ」は24日、クリミアの都市アルシュタで45歳の住民が、海岸近くで爆発物によって吹き飛ばされ、死亡したことを伝えた。

ウクライナによる反攻に備えるため、ロシア軍は2014年にウラジーミル・プーチン大統領が一方的にロシアに併合したクリミア半島の防衛を強化している。

【動画】海からロシアの艦船に迫るウクライナのドローン

クリミアの海岸は、ロシア軍が塹壕を掘って新たな防御態勢を整えているために、遊泳禁止になっているという。また、ロシア軍が半島全域に地雷を埋めているという報告もある。

アルシュタで爆発音が轟いたのは23日の夜だった。現場に到着した捜査官は、海から15メートルほど離れた場所で45歳の人物の遺体を発見した。

「死因は未確認の物体の爆発による」と、バザは報じた。

黒海艦隊にドローン攻撃

ロシアの国営メディアRIAノボスチは24日、民間人がアルシュタとスダクの両都市の間で「弾薬によって吹き飛ばされ」、死亡したことを報じた。

ノボスチは、救急隊の話として、爆発物は第二次世界大戦当時に使われていたものである可能性が高いと伝えている。

ロシア当局は、この事件に関してまだ何も発表していない。本誌はロシア外務省に電子メールで連絡を取り、コメントを求めている。

クリミアの一部では、プーチンの本格的なウクライナ侵攻開始から数週間後の2022年4月11日以来、テロの脅威レベルが高度警戒体制を示す「黄色」になっている。ロシア軍は、ウクライナの反攻を懸念してこの地域の守備を固めているが、半島における爆発の報告は増えている。

24日未明には、クリミア南西部の都市セバストポリも爆発で揺れた。ロシアが任命したミハイル・ラズボジャエフ知事は、海洋ドローン2機がロシアの黒海艦隊に攻撃を仕掛けたが撃退した、と自身のテレグラム・チャンネルで伝えた。

ウクライナはドローン攻撃を行ったことを認めていない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税、国内企業に痛手なら再生支援の必要も=

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン

ビジネス

米国株式市場=S&P500・ダウ反発、大幅安から切

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、トランプ関税発表控え神経質
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中