スーダン新停戦合意も失敗 物資不足深刻化、難民数千人が隣国に
アフリカ北東部スーダンで15日に始まった正規軍と民兵組織「即応支援部隊(RSF)」との戦闘は19日も続き、スーダン保健省は世界保健機関(WHO)の情報として、これまでに少なくとも270人が死亡、2600人が負傷したと発表した。写真は4月18日、戦闘による黒煙が立ち込める首都ハルツーム(2023年 ロイター/screen grab obtained from a social media video. Twitter @ayman_amin_/via REUTERS)
アフリカ北東部スーダンで15日に始まった正規軍と民兵組織「即応支援部隊(RSF)」との軍事衝突は、19日に予定していた新たな停戦合意も失敗に終わり、住民は停電や断水、食料などの物資不足や医療崩壊に脅かされている。
現地時間午後6時(日本時間20日午前3時)から24時間の停戦が実施されるはずだったが、首都ハルツーム市内の別々の場所にいる目撃者2人によると、戦闘は続いている。
空には濃い煙が立ち込め、ハルツーム市内に人々の姿はほとんど見られない。
これに先立ち、軍は声明で「停戦は人道的な要望に応じる活動を円滑に進めるため、翌日午後6時まで継続される。相手側が停戦を尊重することが条件となる」としていた。RSFも再び停戦を実施する準備ができたと表明していた。
双方は米国などの要請に基づき18日夕からも24時間の停戦を実施すると表明したが、停戦発効直後からハルツームで激しい銃声が響くなど、合意は守られなかった。
19日もハルツーム中心部では軍司令部周辺や空港で激しい戦闘が継続。ロイターの目撃者によると、ハルツーム南部でも銃声が響き渡っている。テレビ局アルアラビヤは、同国北部の重要な軍事空港を軍が奪還したようだと伝えた。
スーダン保健省は世界保健機関(WHO)の情報として、これまでに少なくとも270人が死亡、2600人が負傷したと発表した。
米ホワイトハウスは、多くの犠牲者が出ているスーダンでの暴力を非難し、現地に駐留する全ての米軍兵士の安否を確認したと発表した。
スーダンはエジプト、サウジアラビア、エチオピアのほか、サハラ砂漠の南側に広がるサヘル地域の間の戦略的な地域に位置しており、今回の紛争に近隣国が巻き込まれるリスクがあるほか、この地域での影響力を巡る米ロの競争に発展する可能性も指摘されている。
一方、スーダンと国境を接する隣国チャドには多くの難民が流出している。チャド国防相は「何千人もの難民が保護を求めるために国境を越えている。われわれは彼らを受け入れ、保護する以外に選択肢はない」と述べた。
また、17日にチャド領に侵入した320人のスーダン兵を武装解除したことも明らかにし、紛争への関与は望んでいないとした。