「永遠の兄弟」中露の力関係は完全に逆転... 中国が「大兄」でロシアは「弟」【注目ニュースを動画で解説】
力関係は一目瞭然 ニューズウィーク日本版-YouTube
<戦争で疲弊したロシアがかつての弟分に支援を仰ぐ。最新の中露関係を解説した動画から一部を抜粋して紹介する>
ウクライナに仕掛けた戦争で疲弊するロシアは経済面だけでなく、技術面と外交面でもこれまで以上に中国に頼らざるを得ない状況にある。社会主義時代の力関係は完全に逆転したが、孤立したかつての兄貴分を中国はなぜ支え続けるのか。その狙いを読み解く。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「「永遠の兄弟」中露の力関係は逆転!中国が「大兄」でロシアは「弟」【アニメで解説】」の内容を一部抜粋して紹介する。
1949年の12月、建国まもない中国の毛沢東主席が初めてモスクワを訪問した。ソ連の国営ラジオ局は「ロシア人と中国人は永遠に兄弟」という詞で始まる『モスクワ・北京』という曲を流して歓迎したが、「弟分」とされたことに中国人は怒りを覚えた。
75年近く経った今、ロシアはあらゆる面において中国にすがる側となっている。
ただし、ロシアは依然として核兵器大国であり、化石燃料と天然資源、食糧の主要な輸出国だ。中国の属国と呼ぶことはまだできない。アメリカ主導の世界秩序に対抗する中国にとって、ロシアは今でも戦略的に必要な存在と言える。
3月にモスクワで行われた首脳会談での最大の議題はウクライナだった。この会談で習近平国家主席は12項目の和平提案を用意したが、戦闘を終わりに向かわせるような具体策はなかった。
今回の中国の狙いは、紛争解決能力を世界に示すこと。習の提案をプーチン大統領が支持することでそれをアピールできるという訳だ。
そもそもロシアはもちろん、ウクライナ側も和平に向けて動く気配はない。両軍とも春から夏にかけて一段と軍事構成を強める構えだ。
現実的にロシアを支援していながら、口先では穏健で中立的なメッセージを世界に向けて発する中国。ロシアが負けて中国に頼ろうとしない政権が誕生するのは厄介だが、残忍な侵略に加担して共犯者扱いされるのも避けたい──中国の振る舞いの裏には、こうした事情がある。
首脳会談で中国はさまざまな合意を取り付けて優位性を確認し、ロシアは中国の提供するライフラインが確固たるものであることを確認した。
中国は3月10日にサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介し、外交上のシンボリックな勝利を収めた。アメリカに対抗し、超大国として世界を仕切る準備を着々と進めている。
国際政治の舞台を堂々と歩む中国に、疲弊した弟分は付き従うのみだ。
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