米台の指導者が会えば会うほど、中国の「派手なリハーサル」が止まらない
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中国本土に近い馬祖島周辺で演習を行う中国軍の艦艇 THOMAS PETERーREUTERS
<中国初の国産空母「山東」による台湾攻撃のシミュレーションを初めて行った中国。海上封鎖や精密攻撃を想定した「台湾包囲」をこれ見よがしに行っている>
毎度のことだが、台湾とアメリカの要人が顔を合わせると、中国側は派手な軍事演習で応える。
去る4月5日に米カリフォルニア州で台湾総統の蔡英文(ツァイ・インウェン)と米下院議長のケビン・マッカーシーが会ったときも、中国軍は同月8~10日の3日間にわたり、台湾周辺で大規模な軍事演習「連合利剣」を実施した。
蔡はニューヨーク経由で中米2カ国(今も外交関係のあるグアテマラとベリーズ)を訪問した後、台湾に戻る途中でカリフォルニアに立ち寄り、マッカーシーと会った。公式訪問ではなく、あくまでも「立ち寄り」としたのは、もちろん中国を挑発しないため。当然、アメリカ政府の高官とは一度も会わなかった。
台湾の歴代総統が1995年、2001年、07年、そして19年に「立ち寄り」と称して訪米した際にも、中国は軍事的な示威行動で応じていた。
昨年8月のナンシー・ペロシ下院議長(当時)による訪台にも中国は同様に反応した。今回も台湾側は、何らかのリアクションを覚悟していたに違いない。
では、今回の反応をどう評価するか。専門家の間でも意見は割れている。今回の実弾演習は昨年8月に比べると台湾本島から離れた場所で行われた。
それでも演習中に台湾の防空識別圏に侵入した戦闘機の数は最も多かった。脅威が減ったのか増えたのか、簡単には判定できない。
今回の演習には中国初の国産空母「山東」が参加し、艦載機「殲15」の発着訓練も実施された。空母による台湾攻撃のシミュレーションは今回が初めてだ。
中国側は今回、標的に対する精密攻撃の訓練も実施したとしている。昨年8月のミサイル発射実験の延長線上にあるのだろう。しかし真に注目すべきは、今回の演習が台湾「封鎖」のシミュレーションと位置付けられたことだ。
演習の動画を双方が公開
昨年8月の軍事演習は、多大な犠牲を伴う台湾本島への上陸・侵攻作戦を想定していたように見えた。しかし今回は、強力な海上封鎖によって台湾を物理的に孤立させるシナリオを描いていたようだ。