「そこまでは手が回らない」──旧ソ連の国々の紛争にはプーチンもお手上げ
ナゴルノカラバフ紛争時のアルメニア兵(2020年) PRESS OFFICE OF ARMENIAN DEFENSE MINISTRYーPAN PHOTOーHANDOUTーREUTERS
<ナゴルノカラバフ地方のラチン回廊で両国軍の兵士が発砲し、死者が出る事態に。ウクライナ戦争に総力を注ぎ込んでいる今、そこまで対応できないという見方が>
旧ソ連のアルメニアと隣国アゼルバイジャン間の係争地ナゴルノカラバフ地方のラチン回廊で4月11日、両国軍の兵士が発砲し、双方に7人の死者が出る事態となった。
今回の衝突は、2020年に起きた6週間のナゴルノカラバフ紛争の延長線上にある。この紛争はロシアの仲介で停戦に至ったが、火種が全て取り除かれたわけではない。
衝突に先立つ7日にはアルメニアのパシニャン首相がロシアのプーチン大統領と電話会談し、ナゴルノカラバフの状況について協議。
双方で停戦合意を履行することの重要性を確認し合ったとされるが、その直後にアルメニア側に通じる唯一の補給路であるラチン回廊で両軍が衝突した。
ロシアはこれまで、旧ソ連構成国であるアルメニアとアゼルバイジャンに影響力を及ぼそうとしてきたが、ウクライナ戦争に総力を注ぎ込んでいる今、この2カ国の紛争にまで手が回らないとの見方もある。
プーチンにとっては新たな頭痛の種かもしれない。