低ランク大学の卒業生ほど奨学金返済に苦慮している実態
上記の日本学生支援機構のデータベースでは、奨学金の返済が滞っている者の割合を大学別に出せる。2019年度末までの5年間の貸与終了者のうち、2020年度末時点で返済金を滞納している者が何%かというデータだ。先程と同じく、入試偏差値との相関をとると<図2>のようになる。
奨学金返済滞納率は、高い大学では10%を超える。傾向としては、偏差値が低い大学ほど滞納率は高い。家計に余裕がなく無理な借り入れをしてしまう学生が少なからずいること、安定した就職先を得にくいことなどが理由とみられる。低所得層の子弟が無理をして(借金をして)進学し、それがもとで辛い人生行路へと仕向けられる構造だ。
高等教育の機会を幅広い階層に開くのはいいが、借金を負わせることでそれを進めるのは決してプラスではない。法で定められた「教育の機会均等」を実現すべく、真の意味でのスカラシップ(給付奨学金)の枠を拡充すべきだ。制度としてはできているが、利用者数でみると貸与型が圧倒的に多い。これなどは「学生ローン」に名称変更されるべきものだ。
同時に、教育機関として機能せず、在籍する教員を食わせるためだけにあるような大学にはナタを振るってもいい。卒業生の奨学金返済滞納率が高い場合、大学が返済の一部を負担するような制度にしてもいいのではないか。