最新記事
米大統領戦

プーチンはヒラリー・クリントンが怖くて歴史を変えるような真似をした

Hillary Clinton Was Once the Person Putin Feared Most: Nancy Pelosi

2023年4月4日(火)21時05分
ケイトリン・ルイス

ロシアのプーチン大統領とクリントン米国務長官(当時)(2012年、ウラジオストク)

<だからプーチンは2016年の大統領選挙でトランプが勝つように干渉した。それがなければ、アメリカの歴史は今とは違っていただろう>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2016年の米大統領選挙に干渉したのは、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン元国務長官をプーチンが「最も」おそれていたからだ、とナンシー・ペロシ元下院議員が発言した。

ペロシは4月3日、コロンビア大学国際公共政策大学院(SIPA)で、クリントンとともに国際政治と国家安全保障について講演した。バラク・オバマ政権で国務長官を務めたクリントンは、1月にSIPAの教授に就任している。

クリントンから、「わが国の民主主義が直面する最大の脅威と課題」について見解を問われたペロシはまず、クリントンによるこれまでの政治的奉仕に対して謝意を述べた。

「彼女の明晰さと断固たる姿勢が、プーチンをアメリカの大統領選に介入する形で彼女に敵対するよう駆り立てた」とペロシは述べた。「ウラジーミル・プーチンがわが国の民主主義に干渉したのは、民主主義のないロシアにとって最大の脅威となる人物がヒラリー・クリントンだったからだ」

クリントンへの怨念

2016年の大統領選挙後、米国の諜報機関は、プーチンが米国の大統領選に干渉し、クリントンをドナルド・トランプより不利になるよう工作していたことを明らかにした。ロシアによるサイバー攻撃には、クリントンなどの民主党幹部に悪い評判を立てるために民主党全国委員会のサーバーをハッキングして、電子メールや文書を入手した件も含まれていた。

何人かの専門家が述べてきた説によれば、こうした干渉の原動力は、クリントンに対する積年の怨恨だった可能性があるという。クリントンは国務長官時代に、ロシアで2011年12月におこなわれた下院選挙を公然と批判し、選挙プロセスは「自由でも公正でもなかった」と述べている。2016年に米ニュースサイト「ポリティコ」が伝えたところによれば、プーチンは選挙後にモスクワで起きた抗議活動を、クリントンによる攻撃のせいだと考えていた。デモ参加者たちは、「米国務省の支援」を受けて、プーチン政権の土台を揺るがそうとしていると発言していたという。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中