最新記事
ウクライナ戦争

ロシアが戦争に勝てていない理由は、プーチンの「矛盾」にある 小泉悠×河東哲夫

THE END OF AN ENDLESS WAR

2023年4月6日(木)21時25分
小泉 悠(軍事評論家)、河東哲夫(本誌コラムニスト、元外交官)、ニューズウィーク日本版編集部

magSR20230406talk6-2.jpg

ロシアの士気と経済から、NATO介入の可能性、歴史に学ぶ戦争の出口まで、河東氏と小泉氏(写真手前)の議論は続く HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN

■河東 アメリカ国内では、事をどんどん先に進めようという勢力とウクライナはもういいかげんやめようという動きの2つがあって、どうなるのか分からないです。前者のほうは、ワシントンのいろんなロビイストたちがウクライナに兵器をもっと出すという方向で動いている。

そういうことをやるロビイストたちの数が2倍ぐらいになったと言います。彼らはウクライナのために無料でやっている格好にして、法律的な縛りをくぐって、実際にはアメリカの兵器会社から報酬をもらっている。

止めるほうの動きについて言えば、やはり(ドナルド・)トランプが大統領に復活するかどうか。非常に大きなブレーキになりますよね。まだ可能性は残っている。ロシアは当然それを意識に入れているでしょう。

■小泉 別にトランプでなくても、トランピアン的な人物であってくれればいいわけですよね。一番しっちゃかめっちゃかにしてくれるのはトランプなんでしょうから、ロシアにしてみれば2016年の再現は考えるでしょう。

来年は大変です。ロシアもアメリカも大統領選。台湾も総統選。本来、実はウクライナも大統領選なんですけど、戒厳令を出しているので、おそらくやらないだろうとみられています。もしそれでもやるんだとなった場合には、ロシア、アメリカ、ウクライナという戦争に関わる全部の国が大統領選挙に......。

※対談記事の抜粋第7回:経済無知で「謎の世界観」を持つプーチンらKGB出身者たち 河東哲夫×小泉悠 に続く。


小泉 悠(軍事評論家)
東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)専任講師。著書に『ウクライナ戦争』『「帝国」ロシアの地政学』など。

河東哲夫(本誌コラムニスト、元外交官)
外交アナリスト。ロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン「文明の万華鏡」主宰。著書に『日本がウクライナになる日』『ロシアの興亡』『遙かなる大地』(筆名・熊野洋)など。

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・寄り付き=ダウ一時1000ドル超値上

ビジネス

テクノロジー主導の生産性向上ブームが到来=米シカゴ

ワールド

ガザの学校に空爆、火災で避難民が犠牲 小児病院にミ

ワールド

ウクライナ和平交渉、参加国の隔たり縮める必要=ロシ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 4
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 8
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中