ガラスビーズがいっぱい──乾燥した不毛の地・月面は「水の都」? 最新研究
2023年4月3日(月)14時07分
隕石の衝突が引き金となって水ができた? LIN YANGCHEN/GETTY IMAGES
<隕石が月に衝突した際に飛び散った岩石由来の「ガラスビーズ」とは? 月面と同じ原理で他の星にも水がある可能性も浮上>
乾燥した不毛の地とされていた月面に水が存在することは、過去20年ほどの研究で判明していた。だが最新の研究によって、月面が水の宝庫である可能性が浮上している。
ネイチャー・ジオサイエンス誌の3月27日付の論文によれば、2020年に中国の無人月探査機「嫦娥5号」が月面で採取した「衝突ガラスビーズ」の中から水が検出されたという。
隕石が月に衝突した際に飛び散った岩石から液滴が形成され、それが冷えてガラスビーズとなる。その中の酸素が太陽風に含まれる水素イオンと結合して水ができると考えられる。
ガラスビーズは1ミリ以下の微細な粒だが、月面に広く散らばっており、最大で2700億トンの水を含有している可能性があると研究チームは推測する。
ガラスビーズから水を抽出するのは容易とみられ、将来的には月探査や月面基地建設の際の水源となると期待されている。また、月面と同じ原理で他の星でも水が形成されている可能性も考えられる。