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フィンランド

NATOに加盟したフィンランドの軍は対ロシアで頼りになる

What Finland Adds to NATO's Military Arsenal

2023年4月5日(水)17時26分
デービッド・ブレナン

フィンランドは主力級戦車約239台を保有しており、そのうち179台が使用可能な状態とみられる。このうち、それぞれ約100台ずつ保有するドイツ製のレオパルト 2A4とレオパルト 2A6は、春の反攻を支援するためにウクライナに送られた戦車と同じタイプだ。

同軍が保有する数千台の装甲車の中には、スウェーデン製のCV-90歩兵戦闘車(IFV)が100台以上ある。これもウクライナに送られたモデルで、世界で最も強力なIFVの一つとされている。

砲兵火力でも秀でている。保有する自走砲は100基以上、そのなかには市場で最も人気のある韓国製のK9サンダーも39基含まれている。また、追跡式のM270多連装ロケットシステムを29基保有しており、車付きで機動性の高いHIMARS(高機動ロケット砲システム=ハイマース)とともに、ウクライナのロシア軍に打撃を与える役に立つ。

「われわれには、現在ウクライナで起きている戦争を遂行するうえで重要な防衛力がある」と、フィンランドの最高司令官ティモ・キビネン将軍は、12月のインタビューで語った。「国民一人当たりに換算すると、おそらくヨーロッパで最も軍事能力が高い」。

空と海の備えは十分

フィンランドは、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドとともに、現在NATOの対ロシア最前線の一部を形成している。米国製戦闘攻撃機F/A-18ホーネット55機で構成されたフィンランド空軍部隊が、空対空ミサイル「AIM-9サイドワインダー」や空対地巡航ミサイル「AGM-158 JASSM」などアメリカの最新兵器を搭載して、同盟国の北東部の辺境を監視している。

フィンランド空軍のF/A-18は、2026年から64機の米国製第5世代戦闘機F-35に置き換えていく予定。後継機の導入完了は2030年を予定している。北極に近いフィンランドのラップランド地方は、現在ヨーロッパ最大のNATOの空中戦訓練場となっている。

近代化が進むフィンランド空軍は、特に北欧諸国の空軍と組み合わせれば、「北部における強力な複合戦力」となる、とペスは言う。

フィンランドのバルト海側は4442キロに及ぶ海岸線だ。フィンランドの加盟とスウェーデンの加盟申請により、バルト海は「NATOの湖」と見なされるようになった。フィンランドの海軍は世界で12番目の規模を誇り、艦隊にはミサイル艇8隻と掃海艇10隻が含まれている。

フィンランドの海軍について、「国境付近と群島にかなり重点を置いている」とペスは語った。「それでもバルト海北部の備えは十分に整っている」。

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