ウクライナの大規模反転攻勢はすぐにも始まる?
Ukraine's Counteroffensive Could Be Very Near
ロシア軍から奪還したハルキウのイジュームで国旗掲揚に立ち会うウクライナのゼレンスキー大統領(2022年9月14日)Ukrainian Presidential Press Service/REUTERS
<ウクライナ軍が東部で「ひそかに」部隊の増強を進めていると軍事専門家が指摘>
ウクライナ軍が東部ドンバス地方の奪還に向けて、北東部ハルキウ州に「ひそかに」部隊を集結させている──ロシアのメディアがこのように報道し、ウクライナによる反転攻勢が遂に初期段階に突入している可能性を示唆した。
ロシア国営タス通信によれば、ウクライナ東部ルハンスク(ルガンスク)の親ロシア派勢力の軍事専門家ビタリー・キセリョフ大佐は、ウクライナ軍がハルキウ州クプヤンシク市周辺の部隊を増強していると指摘した。
ドンバス地方として知られるルハンスク(ルガンスク)とドネツクの親ロ派分離主義勢力は、2014年に一方的にウクライナからの独立を宣言。2022年にロシアとウクライナの間で全面戦争が始まって以降、これら2つの地域では激しい戦闘が展開されてきた。
米シンクタンクの戦争研究所は4月14日、ロシアの情報筋から得た情報として、ウクライナ軍がルハンスクの「後方を標的に」し続けていると指摘。ロシアのある「軍事ブロガー」は、ウクライナの兵士たちが「この地域での反転攻勢に備えて、敵後方にあるロシアの軍事標的を攻撃して」いると示唆したことを明かした。
作戦を知るのは「5人以下」
ウクライナ軍参謀本部は17日、ロシア軍がルハンスクとその周辺にある数多くの集落を砲撃したと報告したが、ウクライナ側の攻撃については言及しなかった。本誌はウクライナ国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。
西側のアナリストやウクライナの当局者らは以前から、ウクライナが春に反転攻勢を計画していると示唆してきたが、ウクライナの指導部はその詳細を一切明かしていない。ウクライナのハンナ・マリャル国防次官はメディアに対して、ウクライナの反転攻勢については報じないよう繰り返し呼びかけてきた。ウクライナ国家安全保障防衛会議のオレクシー・ダニーロフ長官は4月上旬に、今後の反転攻勢に関する具体的な情報を持っている人物は5人以下だと述べていた。
ウクライナのデニス・シュミハリ首相は、4月に入ってから米FOXニュースに対して、ウクライナは今後予定されている反転攻勢で、ロシア側に占領された地域を奪還するだろうと述べた。「アメリカをはじめとするパートナーと協力して、反転攻勢の準備に集中的に取りかかっているところだ」。