最新記事
ベラルーシ

ロシアの戦術核配備でベラルーシ政権転覆の恐れ──ロシア高官

Russian Official Warns of Plot to Overthrow Belarusian Government

2023年3月30日(木)18時28分
ニック・モドワネック

自分のことし考えていない独裁者同士、ルカシェンコとプーチン(2月17日、モスクワ) Sputnik/Vladimir Astapkovich/Kremlin/REUTERS

<「ベラルーシもこれで核保有国」とプロパガンダは囃し立てるが、国内外のベラルーシ反体制派や武装勢力が黙っていないかもしれない>

ウクライナに亡命したベラルーシの反体制派の一部は、ウクライナ軍を支援する外国人部隊に加わってロシア軍と戦っているが、この抵抗勢力が、ベラルーシの現独裁政権の転覆を企てる恐れがあると、ロシアの高官が警告した。

ロシアのミハイル・ガルージン外務次官は、ジョージアのテレビ局RTIVの番組で、ウクライナ東部でウクライナ軍と共に戦っている「ベラルーシの民族主義武装勢力」は「著しく手強い存在となっている」と述べた。

「残虐な傭兵部隊のリーダーや指揮官は、(ウクライナでの)戦闘経験を生かして、いずれベラルーシの現政権を武力で倒すと公言している」と、ガルージンは語った。「破壊工作を目指す連中がウクライナからベラルーシに送り込まれる可能性は排除できない」

ベラルーシを守る代わりに...

ガルージンは、ベラルーシの治安機関と軍の特殊部隊に対し、ロシアと共に設立した「地域合同部隊」の支援を受けて「ピンポイントの挑発、さらにはベラルーシの領土への本格的な侵攻をはね返す」体制を整えるよう訴えた。

「もちろん、われわれの共通の歴史で一度ならずあったように、ロシアは兄弟国と協力して、連合国家の主権と安全保障を守るために戦う」と、ガルージンは述べた。連合国家とは、ロシアとベラルーシが経済と軍事の統合を目指して1999年に交わした条約にうたわれた構想である。

ウクライナ軍参謀本部の昨年8月の報告によれば、ウクライナに対するロシアの戦争に参加すると合意したベラルーシ人は約1万3000人に上ると、ウクライナの英字紙キーウ(キエフ)・インディペンデントは伝えている。

ベラルーシの政治アナリストで、コンサルティング会社センス・アナリティクスの創設者Artyom Shraibmanはメッセージアプリのテレグラムで本誌の取材に応じ、ガルージンの発言はロシアのウラジーミル・プーチン大統領の考えに添ったものだと述べた。

ガルージンの発言で、プーチンの盟友であるベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が引き続き注目を浴びることになった。

ルカシェンコはロシアの要請に応じて、「軍事的な主権を大幅に譲り渡してきたが、その見返りとして経済的なアメをたっぷりと得た」と、Shraibmanはみる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中