デモ隊に放水銃の攻撃、ジョージア「ロシアそっくり法案」はなぜ今だったのか
Georgians Lean West
ジョージア政府は既に、ミハイル・サーカシビリ元大統領の扱いをめぐり国際的な批判を浴びている。サーカシビリは2003年のバラ革命で強権体制を倒し、強力な親欧米・反ロシア路線を主導したが、在任中の権力乱用を理由に禁錮6年の判決を受けた。
ところが、サーカシビリは収監中に体調を大きく崩し、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティ・インターナショナルは今年3月2日、治療目的の釈放をジョージア政府に訴えた。さもないとサーカシビリは、「死亡、生涯にわたる障害、または心身に取り返しのつかないダメージを受ける重大なリスク」があるという。
一方、政府寄りのメディアでは、数カ月前から複数のNGOの活動を攻撃する記事が目立つようになっていた。こうしたNGOは欧米の政府から多額の支援を受けており、ジョージアの国益を傷つける活動をしているというのだ。
「政府はわれわれのイメージを失墜させたと確信したところで、(外国代理人法案を)押し通そうとした」と、選挙監視団体「公正な選挙と民主主義のための国際社会(ISFED)」のエグゼクティブディレクターを務めるニーノ・ドリゼは指摘する。
これに対して、ジョージアの夢のイラクリ・コバヒゼ党首は、「(外国代理人法案は)ロシアと同じ法律だというキャンペーンがあるが、これは嘘だ。また、法案が通れば、ジョージアがEU加盟から遠ざかるという声もあるが、これも嘘だ」と主張する。
外国のスパイと同義語
ジョージアの夢は、外国代理人法案はむしろ、アメリカの外国機関登録法と同じだとして、法案を正当化する。
だが、アメリカの法は外国政府のためにロビー活動を行う者にその関係の公表を義務付けるものであり、ジョージアの外国代理人法案になぞらえるのは「大間違いだ」と、米上院外交委員会のジーン・シャヒーン上院議員は憤る。
2月にジョージアを訪問したシャヒーンは、外国代理人法案は、「ロシアがメディアとNGOの弾圧を始めたときに使った法律とほぼ同じだ。ジョージアは同じことをやろうとしている」と警告した。
TIジョージアは、「外国の代理人」という指定は、市民団体に対する不信感を植え付ける狙いがあると語る。「該当組織は、外国のスパイだとか、国家転覆を図る反逆者、あるいは外国が操る組織と見なされてしまう」という。