韓国、宙を飛んだ暴走SUV 運転ミスか車両の欠陥か、立証義務は誰にある?
イ・サンフン氏は「まだ夢の多い12歳の息子を天国に送り、当時運転をしていた母親は刑事被告になってしまった。母は孫の世話するため50年間暮らしてきたソウルを離れ、知人もいない江陵にやっきて、8年以上孫の登下校の送り迎えをしていた。事故当日もいつものように塾から家に帰ってくる途中、あまりにも悲惨で想像もできなかった急発進事故で突然別れることになった」と伝えた。
さらに「事故に遭って訴訟を準備しながら感じたのは、息子を亡くした悲しみと痛みの苦しみの中で、完全に哀悼することも出来ないまま暴走事故がなぜ発生したのかについて事故原因の究明を非専門家の事故当事者や遺族が証明しなければならないという悔しさ、もどかしさだった。この韓国の現実にうっ憤が爆発して胸が潰れた」と心境を吐露した。
彼は「事故にあったことも悔しいが、どうして原因究明を事故当事者である私たちがしなければいけないのか。専門家ですら難しいことを、当事者や遺族が自動車の欠陥を立証することは事実上不可能に近く、これによってメーカーの責任回避が続いている」と強調した。
こう話していたイ・サンフン氏の熱意が通じた。請願申請6日目の2月28日に5万人が同意し、政務委員会と法制司法委員会に付託された。
交通事故の専門弁護士「無罪判決を勝ち取る」と宣言
また専門家もイ・サンフン氏を応援しようと立ち上がった。検事出身で交通事故専門の弁護士として知られる韓文鉄(ハン・ムンチョル)弁護士は、ケーブル放送局JTBCの自身の番組『韓文鉄のブラックボックスレビュー』、そして自分のユーチューブチャンネル『韓文鉄TV』で、この事故について取り上げ、「この事件が裁判所に起訴されれば私が無罪判決を勝ち取る」と宣言。そして「急発進が疑われる事故の問題が根本的に解決されるその日まで、問題を提起する」と覚悟を表わした。
果たして、暴走事故の原因はA氏の操作ミスか、あるいは車両自体の欠陥だったのか? 何れにせよ、責任の所在をユーザーではなく自動車メーカーが明らかにすべきというPL法改定が待たれるところだ。