F16供与への布石?ウクライナ軍パイロットがアメリカで戦闘機の訓練開始
Ukrainian Pilots Are in U.S. Training on F-16s
ついにF16をウクライナに供与するための準備か? Sputnik/Sergey Bobylev/REUTERS
<何のための訓練なのかは明らかに見えるが、米当局者はF16供与のための準備ではないと否定する>
複数のメディアによれば、ウクライナ軍のパイロットがアメリカ国内で、F16戦闘機の訓練に入った。正確には、どの程度の訓練が必要かの評価を受けている。
NBCニュースは4日、選抜された2人のウクライナ軍兵士はアリゾナ州で、F16戦闘機を含む航空機の訓練を完了するためにどのくらいの時間がかかるか調べるための「評価を受けている」と伝えた。
またNBCは関係者の話として、参加するウクライナのパイロットの数は今後さらに増える可能性があると伝えている。
いくつかの報道によれば、ウクライナ人パイロットは英語に堪能であることも条件に選ばれており、あと10人ほどがアメリカに派遣される予定だという。
CNNも、ウクライナ軍のパイロットが「ウクライナとアメリカの通常の軍事対話の一環」としてアリゾナに来ていると伝えた。
アリゾナ州でのこの「習熟イベント」とは、「空軍兵士同士のディスカッションと、米空軍の運用についての見学」だと関係者は控えめに述べたという。
この関係者はまた、このイベントの目的はウクライナ軍のパイロットの実戦能力引き上げに力を貸すとともに、「能力を開発する方法についてアドバイス」することにあると述べた。NBCによれば、シミュレーターを使った訓練も行われている。
だが一方でこの関係者は「ウクライナへのF16の供与に関し発表できるような新しい情報はない」と述べている。
「自由の翼」を求めるゼレンスキー
ウクライナ政府は以前から西側諸国に対し、先進的な戦闘機の供与を求めてきた。ウクライナ空軍には旧ソ連時代の古い軍用機しかないためだが、ウクライナへの支援を行っている国々も、ロシア領土への攻撃を可能にする戦闘機や長距離ミサイルの支援にはこれまで応じてこなかった。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は2月にイギリスとフランス、ベルギーを歴訪した際、戦闘機は「自由の翼」だとして改めて供与を求めた。
ゼレンスキーのロンドン訪問中、イギリス政府はウクライナ軍兵士(戦闘機のパイロットを含む)を対象とした訓練を今後拡大すると発表した。
これは「パイロットが先進的なNATO標準の戦闘機を将来的に確実に飛ばすことができるようにするため」だと、英首相官邸は2月8日、明らかにした。
イギリスがウクライナ兵向けの訓練開始の予定を公式に明らかにしたことで、「もっと前に始めるべきだった」アメリカの行動の「遅れ」が目立つ形になってしまったと、ワシントンに本拠を置くシンクタンクのジェームズタウン財団のグレン・ハワード会長は述べた。
ウクライナのパイロットたちは「F16を飛ばしたいという燃えるような欲求を抱えている」とハワードは本誌に語った。つまり、パイロットたちはF16について間違いなく何かを掴んで帰るだろうということだ。