ミャンマー軍政、クーデター2年で戒厳令拡大 スー・チーには弁護団と面会させず
クーデターから2年となった2月1日、東京でもスー・チー釈放を求めるデモが行われたが…… ISSEI KATO / REUTERS
<クーデターから2年が経過も、混迷が深まるばかり>
ミャンマーで2022年12月に合計33の禁固刑を受けて現在上訴中の民主政府指導者だったアウン・サン・スー・チー氏(78)がキン・マウン・ゾー弁護士ら弁護団との面会を許可されていないことが米系メディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」の報道で明らかになった。
通常、上訴中の被告と弁護団との面会は法律で認められているというが、ミン・アウン・フライン国軍司令官率いる軍事政権は面会不許可でスー・チー氏の孤立化と武装市民ら反軍政勢力への影響力低下を意図的に狙っているものとみられている。
スー・チー氏と同時に拘束されて禁固刑を受けているウィン・ミン氏(クーデータ前の大統領)に対しても同じく弁護士との面会が不許可となっているという。
ウィン・ミン氏は12月の裁判で8つの容疑で合計禁固12年を言い渡された。そして結審後の1月14日にそれまで収監されていた首都ネピドーの刑務所からヤンゴン北部にあるバゴー地方域南部のタウングー刑務所に移送されたとRFAは伝えている。
日用品は週1回差し入れ
弁護団は2023年1月中旬にスー・チー氏との面会を要求したが軍政側は面会を不許可とした、と弁護団に近い関係者がRFAに明らかにした。
これにより12月の判決公判の時を最後にスー・チー氏と弁護団との面会は実現できていないが、関係者によるとスー・チー氏には週に1回だけに日用品などの必需品の差し入れが弁護団には許可されているという。
スー・チー氏はネピドー郊外の刑務所内にある個室で服役しているというが健康状態などに関する情報は一切伝わってこない状況が続いている。
スー・チー氏の弁護団によると12月26日に19の容疑で禁固刑33年を言い渡された判決について全て最高裁に上訴を申し立てている。このうち2月19日までに2件が棄却され、一部は上訴を受け入れられた状態で、今後の裁判の見通しは全く見えないという。
法的権利を無視する軍政
ミャンマーの法律専門家は「ミャンマーの法律によれば服役囚は弁護団と面会する権利があり、それは明確に法律で規定されている。刑務所のマニュアルにも服役囚と弁護団との面会に関する権利が明記されており、この権利に制限はない」と匿名を条件に話している。
スー・チー氏が服役しているネピドーの刑務所に服役していた経験のある民主政権の与党だった「国民民主連盟(NLD)」の元議員は、スー・チー氏が寝起きしている独房は非常に狭く、健康が懸念されると話しているという。