にわかに注目される中国の「気球博士」とは何者か
Who Is Wu Zhe? Scientist Behind China's Spy Balloon Program
エベレストで気球を用いて調査する中国の研究者 XINHUA/AFLO
<北京航空航天大学の武哲(ウー・チョー)教授の正体とは>
アメリカ本土上空を中国の偵察気球が飛行していた問題で、米商務省は気球の開発や運用に関与したとして中国の6企業・団体に対し禁輸措置を発表したが、6つのうち少なくとも3つとつながっているとされる研究者がいる。北京航空航天大学の武哲(ウー・チョー)教授だ。
武は1991年から同大学で教え、一時は副学長にもなった人物だ。専門は高度約20~100キロの「ニアスペース(近宇宙)」の研究で、4年前には無人飛行船を中国から西回りで北米やメキシコまでの上空20キロを周回させることに成功したと発表。武のチームの別の研究者は当時、中国メディアに対し、彼らの飛行船は人工衛星より低高度で飛ばせ、大きな観測機器を積めるため「解像度のより高い画像が得られる」と話していた。
中国政府は、米本土上空で撃墜された気球が「気象観測用」だと主張しているが、北京航空航天大学は中国軍を支援しているとして2010年からアメリカの制裁対象となっている。