中国「スパイ気球」騒動と「U2撃墜事件」の奇妙な類似
ブリンケン国務長官の訪中延期は、米政府が実務関係の再構築に真剣ではない証拠と見なされ、中国の反米強硬派を勢いづかせる恐れがある。対米協調派も、アメリカが国内の反中世論に縛られて身動きできない証拠と見なすかもしれない。
今回の気球騒動は、私たちが「第2次冷戦」の初期にいることを再確認させるものだ。冷戦当時は相互監視が最も緊迫した問題の1つだった。1960年のU2撃墜事件では、ソ連は探知できないはずの偵察機U2を撃墜しただけでなく、パイロットを捕らえてテレビで自白させ、アメリカに恥をかかせた。当時の米ソ関係は比較的良好だったが、この事件のせいで軍縮交渉は台無しになった。
パイロットの拘束が判明する前、アメリカはU2機は気象観測用の航空機であり、誤ってソ連領空に入ったと主張していた。今回の中国の説明と不気味なほどよく似ている。
いずれにせよ、既に悪化していた米中両超大国の関係はまた少し冷え込んだわけだ。