中国、南シナ海でフィリピン沿岸警備隊艦船にレーザー照射 EEZ内に侵入して妨害行為
南シナ海でフィリピン沿岸警備隊にレーザー照射する中国海警局の艦船 CNA / YouTube
<南シナ海をめぐり、中国の横暴がさらにエスカレート>
南シナ海に広がるフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海警局船舶がフィリピン沿岸警備隊の艦船に対して進路妨害やレーザーを照射していたことが明らかになり、フィリピン側は「武力行為」に相当する行為だとして中国を厳しく非難する事態になっている。
フィリピン南西の南シナ海の比EEZ内に存在するアユンギン礁。ここにはフィリピン海兵隊が駐屯して領有権を主張している「シェエラマドレ」という座礁船がある。2月6日、「シェエラマドレ」へ補給物資や食料を運んでいた比沿岸警備隊の艦船「マラパスクア」に対して中国海警局の船舶が接近、レーザーが照射された。比沿岸警備隊が2月13日に明らかにした。
「シェエラマドレ」への物資補給では、2021年11月にも補給物資を輸送する比民間船舶に対して中国海警局船舶2隻が異常接近して放水するなどして妨害。進路変更した民間船は物資を積んだままマニラに戻るという事案も起きており、中国はアユンギン礁に駐屯するフィリピン軍を不快に思っており、妨害行為を繰り返す状況が続いている。
照射されたレーダーは緑色の軍用レーザーとされ、「マラパスクア」の乗員の一部は一時的に失明状態に陥ったという。
フィリピン当局はレーザー照射を受けた際の写真2枚を公開したが、緑色のレーザー光線が中国海警局船舶から一直線に伸びる様子が写っている。
武力行使に匹敵する重大な行為
フィリピンの艦艇が中国海警局船舶からレーザー照射を受けるのは今回が初めてというが、中国からレーザー照射を受けた事例は過去にオーストラリアと米国から報告されている。
2022年2月にオーストラリアのEEZ内のアラフラ海上空で監視飛行中の豪軍航空機に中国海軍の艦艇からレーザー照射があった。
また2020年2月には太平洋上を飛行中の米海軍P8偵察機に対して中国海軍艦艇から「艦艇への異常低空接近」を理由にレーザーが照射されている。