バフムト前線の兵士の寿命はたった「4時間」──アメリカ人義勇兵が証言
Bakhmut life expectancy near four hours on frontlines, fighter warns
「寿命4時間の戦場」バフムトで歩兵戦闘車に乗り込んだウクライナ兵(2月11日)──Yevhenii Zavhorodnii -REUTERS
<ロシア軍の執拗な攻撃に抵抗し続けるウクライナ兵の寿命はそれほどに短く、おぞましい戦場だと義勇兵は語る>
ウクライナ東部バフムトの戦場はおぞましい――ウクライナの前線で戦っているアメリカ人義勇兵は、こう警告している。
ロシアが2022年2月にウクライナに対する「特別軍事作戦」を開始してから、まもなく1年になる。軍事専門家たちは、冬の寒さが和らいで春が近づくなか、ロシア軍が新たに大攻勢をかけるのではないかと予想している。
なかでも2022年7月から激しい戦闘が続いている要衝バフムト、元米海兵隊員のトロイ・オッフェンベッカーによれば、現地は身の毛もよだつような惨状だという。
外国人義勇兵で構成されるウクライナ防衛外国人部隊に参加しているオッフェンベッカーは米ABCニュースに対し、ウクライナ軍の兵士がバフムトの前線に立ってからの「寿命」は、わずか4時間程度だと語った。
「現地の状況はきわめて悪い」と彼は述べ、さらにこう続けた。「かなり多くの犠牲者が出ている。前線に立った兵士の寿命は、4時間程度だ」
オッフェンベッカーは、バフムトはその凄惨な状況から「肉挽き器」と呼ばれていることを引き合いに出し、戦況はまさに「混沌としている」と説明した。
ロシアは昨夏以降、バフムトの掌握を目指してこの地域に集中的に戦力を投入してきた。だがほかの数多くの地域での戦闘と同様に、ロシア軍はここでもウクライナ軍の激しい抵抗に直面している。
大攻勢は「既に始まっている」が
だがオッフェンベッカーは、現地にいるウクライナ軍の部隊があとどれだけ持ちこたえられるかは分からないとしている。彼はABCニュースに対して、バフムトに焦点を当てたロシア軍による大攻勢は、既に始まっているとの見方を示した。
バフムトの戦いでは、ロシア側もウクライナ側もかなりの戦死者が出していると言われる。オッフェンベッカーは、ロシア軍については、装備の損失や兵士の訓練不足が原因で苦戦を強いられているという報道があるものの、バフムトに対しては「ノンストップで」攻撃を仕掛けてきており、「昼も夜も絶え間なく」砲弾が飛んでくると述べた。
元米海兵隊大佐でシンクタンク「戦略国際問題研究所」の上級顧問であるマーク・キャンシアンは本誌に対し、バフムトにおける戦いは第一次大戦を彷彿とさせると言う、、「第一次大戦では戦線にはあまり動きがなかったが、兵士や装備は激しく消耗した」と述べた。
キャンシアンは、自分もほかの軍事専門家も、ロシア軍による攻勢は「一気に」行われるもので、彼らがある日突然「大規模な攻撃」を仕掛けてくると考えていた、と説明。だがバフムトの場合はそれとは異なり、一気にというよりこの地域に徐々に戦力を集中させていくつもりのように思えると述べた。