最新記事

英王室

かつてはオバマ夫妻と「同列」だったヘンリー&メーガンの零落ぶりが酷過ぎる

Prince Harry's Attack on the Royal Family Has Backfired Spectacularly

2023年1月24日(火)21時18分
ジャック・ロイストン

カナダで開催されたインビクタス・ゲームでオバマ前大統領(当時)と車椅子バスケットを観戦するヘンリー王子(2017年) Mark Blinch-REUTERS

<かつてはバラク・オバマ夫妻と並び称されたほど政治的に洗練されたカップルだったヘンリー&メーガンが、愚痴と下ネタに走りはじめて大失敗。王族のヘンリーになぜ破廉恥な暴露話ができたのか理解できない>

ヘンリー王子の回顧録『スペア』の発売以来、かつて慈悲の心と統率力の上に確立された「英王室」という強力なブランドが多方面で崩壊しているように見える。新著のPRでマスコミに登場したヘンリーの言動のせいで、英米でのヘンリーとメーガン妃への好感度は急落している。

かつてメーガンは、アメリカの大統領選出馬まで噂され、カップルとしては、バラク・オバマ夫妻と同じ次元で語られたこともあった。

イギリスがエリザベス2世の崩御を悼んでいた2022年9月には、辛口で知られるジャーナリストのピアーズ・モーガンでさえ、2度のアフガニスタン従軍を象徴する軍服の着用を禁じられたヘンリーに同情の意を表した。

昨年12月、ヘンリーとメーガンは6時間に及ぶネットフリックスのドキュメンタリー番組と1月10日発売の410ページに及ぶ『スペア』を通じて、大衆に直接語りかける前例のない機会を目前にしていた。
 
ネットフリックスがドキュメンタリーシリーズ『ハリー&メーガン』第1部の配信を開始する前日、夫妻は英王室の「構造的人種差別」と闘ったという理由で、ロバートF.ケネディ財団からリップル・オブ・ホープ賞を受賞し、差別と闘うリーダーとしての資格を証明した。

だが、それから1カ月余り経った今、ヘンリーとメーガンのアメリカでの人気は大幅に低下、好感度は「嫌い」が「好き」を上回るマイナスに転落した。国民のほぼ半数が、2人の王族としての称号を剥奪することを支持すると答えている。イギリスではもっとひどい。

どうしてそんなことになったのか?

自分で自分を笑いものに

英王室関係のマスコミは、ヘンリーが家族やメディアに爆弾を投げるだろうと身構えてはいたが、まさかヘンリーの男性器に注目が集まるとは予想もしていなかった。

話題になったのは、ヘンリーが著書の中で明かした凍傷のエピソードがあまりにも奇妙で、にわかに信じがたいものだったからだ。ヘンリーはダイアナ妃が愛用していた美容ブランド、エリザベス・アーデンのリップクリームを凍傷になった男性器に塗った、と説明した。

ヘンリーはオーディオブックでこのときのことを、母親の想い出と共に詳細に語っており、その部分が音声クリップとして、ソーシャルメディアで拡散された。あるツイッターユーザーはこれを「フロイト的悪夢」と表現した。ヘンリーは、オーディオブックのナレーションを自ら担当したことを後悔することになるかもしれない。

PRエージェンシー「ゴー・アップ」のエドワード・コーラム・ジェームズ最高経営責任者(CEO)は本誌にこう語った。「王室が人々に愛され、その存在を成り立たせているものは何かを考える必要がある。その根底にあるのは、尊敬の念だ」

「それを除いたら、本当に何も残らない。その時点でヘンリーはただのテレビのリアリティ番組のタレントになってしまう」

「自分のことを赤裸々に公開しすぎたことで、ヘンリーはこれまで戦争の英雄として、また王族として向けられていた尊敬と称賛を失い、不幸にも自分自身を笑いものにしてしまった。問題は、彼がその尊敬と静かな威厳を取り戻すことができるかどうかだ」と、ジェームズは続けた。

「なかには取り返しのつかないこともあると思う。ヘンリーはそれを公表してしまったのだし、エリザベス・アーデンのクリームを見るたび永遠に局部を思い出されることになったのだから」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中