エネルギー危機で絶好調のアルジェリア、ロシアとの武器取引に対する「冷たい視線」はスルー
Boom Times for Algeria
軍の支持を得て大統領になったテブンは反政府派を弾圧している ANTONIO MASIELLO/GETTY IMAGES
<アフリカ最大の天然ガス輸出国アルジェリア。ロシアとの経済関係への批判も気にせず経済は好調だが、本当の危機はこの「好景気」が終わったとき>
アルジェリアはアフリカ最大の天然ガス輸出国。現在は、大国間の対立とエネルギー危機という時代の新局面を利用し尽くそうとしている。
同国のアブデルマジド・テブン大統領は昨年11月、新興国の経済グループBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)への加盟を正式申請した。12月には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への参加を延長する協定に署名している。
アルジェリアはロシアのウクライナ侵攻以来、ヨーロッパにとって重要なガス供給国だ。アルジェリアのエネルギー輸出による利益は2020年に約200億ドル、21年には約340億ドルだったが、昨年は500億ドルを超えている。
しかしアルジェリアは、同盟国にロシアとの経済関係の断絶を求めるアメリカから目を付けられている。
「アルジェリアとロシアの関係拡大は、全ての国に脅威をもたらす」。リサ・マクレーン米下院議員は昨年9月にこう述べて、他の26人の議員と共に署名したアントニー・ブリンケン国務長官宛ての書簡を発表した。
「(21年だけでも)アルジェリアはロシアとの間で総額70億ドルを超える武器購入を承認した。この取引でアルジェリアは、スホーイ57を含むロシアの最新型戦闘機の購入に同意した」と、この書簡にはある。
「アメリカは、ウラジーミル・プーチンと彼の野蛮な戦争に対する支援は許されないというメッセージを世界に送る必要がある」
アルジェリアがBRICS加盟を目指すのは、中国やロシアとの貿易関係を維持し、エネルギー輸出国として拡大する経済的機会を守りたいためだ。
中国は13年以来、旧宗主国のフランスに代わり、アルジェリアへの主要輸出国になっている。ロシアはアルジェリアの兵器の約80%を供給。アルジェリアはロシアからの武器輸入額で、インドと中国に次いで世界第3位だ。