最新記事

アルジェリア

エネルギー危機で絶好調のアルジェリア、ロシアとの武器取引に対する「冷たい視線」はスルー

Boom Times for Algeria

2023年1月16日(月)12時23分
ノズモット・グバダモシ(ジャーナリスト)
テブン大統領

軍の支持を得て大統領になったテブンは反政府派を弾圧している ANTONIO MASIELLO/GETTY IMAGES

<アフリカ最大の天然ガス輸出国アルジェリア。ロシアとの経済関係への批判も気にせず経済は好調だが、本当の危機はこの「好景気」が終わったとき>

アルジェリアはアフリカ最大の天然ガス輸出国。現在は、大国間の対立とエネルギー危機という時代の新局面を利用し尽くそうとしている。

同国のアブデルマジド・テブン大統領は昨年11月、新興国の経済グループBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)への加盟を正式申請した。12月には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への参加を延長する協定に署名している。

アルジェリアはロシアのウクライナ侵攻以来、ヨーロッパにとって重要なガス供給国だ。アルジェリアのエネルギー輸出による利益は2020年に約200億ドル、21年には約340億ドルだったが、昨年は500億ドルを超えている。

しかしアルジェリアは、同盟国にロシアとの経済関係の断絶を求めるアメリカから目を付けられている。

「アルジェリアとロシアの関係拡大は、全ての国に脅威をもたらす」。リサ・マクレーン米下院議員は昨年9月にこう述べて、他の26人の議員と共に署名したアントニー・ブリンケン国務長官宛ての書簡を発表した。

「(21年だけでも)アルジェリアはロシアとの間で総額70億ドルを超える武器購入を承認した。この取引でアルジェリアは、スホーイ57を含むロシアの最新型戦闘機の購入に同意した」と、この書簡にはある。

「アメリカは、ウラジーミル・プーチンと彼の野蛮な戦争に対する支援は許されないというメッセージを世界に送る必要がある」

アルジェリアがBRICS加盟を目指すのは、中国やロシアとの貿易関係を維持し、エネルギー輸出国として拡大する経済的機会を守りたいためだ。

中国は13年以来、旧宗主国のフランスに代わり、アルジェリアへの主要輸出国になっている。ロシアはアルジェリアの兵器の約80%を供給。アルジェリアはロシアからの武器輸入額で、インドと中国に次いで世界第3位だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦争を警告 米が緊張激化と非難

ビジネス

NY外為市場=ドル1年超ぶり高値、ビットコイン10

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 取引禁止

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P1週間ぶり高値 エ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中