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【総まくり】欧米からウクライナへ 供与候補の装甲車と戦車

What U.S. and Western Vehicles Could Be Headed to Ukraine?

2023年1月12日(木)15時52分
エリー・クック

■チャレンジャー2戦車(イギリス)

チャレンジャー2は、英陸軍が「敵の手による損害を一度も経験したことがない」と称える戦車。イラク、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナでの紛争に投入された。

チャレンジャー1戦車の改良版で、BAEシステムズ社とランド・アーマメンツ社が製造しており、イギリス陸軍は1994年夏から主力戦車として使用している。

重量は68.9トンで、120mmライフル銃を装備。最高速度は時速59キロ、行動距離は最長約550キロとなっている。

英政府が英陸軍のチャレンジャー2戦車数両をウクライナに送るかどうかを検討していることは1月8日に報道されたが、リシ・スナク首相は最終決定を下していない。

ある情報筋がイギリスのスカイニュースに語ったところでは、イギリスはウクライナにチャレンジャー2戦車10両を供与する可能性があり、1個中隊の装備として十分だという。

また、この問題に詳しい匿名の西側情報筋は、チャレンジャー2の供与は、ドイツのレオパルト戦車や米軍のエイブラムス戦車といった主力戦車をウクライナに供与するうえで「良い前例」になるだろうと付け加えた。

■ロシアの戦車

9月にキーウ・インディペンデント紙が報じたところによると、ロシア軍は数千台の戦車を保有しているが、その多くはソ連時代の戦車を土台として1950年代に製造されたもので、米軍のブラッドレー戦闘車には太刀打ちできない代物だという。もっとも、その1万7000両を超える戦車の中にはより近代的で技術的にも含まれると考えられているが、その正確な数はわからない。

ロシアは供与を非難

昨年12月、エストニア共和国のウルマス・レインサル外相は、本誌に対し、主力級の戦闘用戦車の供与はNATOが提供できる支援のなかで、「戦争の行方に戦略的な違いをもたらす」可能性があると述べた。

バルト安全保障財団の軍事アナリスト、グレン・グラントは以前、本誌に「チャレンジャーは恐ろしい獣だ。ソ連の車両や戦車よりも大きく、ずっと怪物的だ」と語っている。

ロシア政府は西側のウクライナへの軍事支援を非難している。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は8日、「(戦車の)供与は、ウクライナ国民に痛みを与え、その苦しみを長引かせるが、基本的には何も解決できず、ロシアの特別軍事作戦の目標達成のプロセスを妨害するだけだろう」と述べた。

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