進む医療用大麻の解禁、減るオピオイド系鎮痛剤の処方 米調査
Medical Marijuana
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<患者へのマリファナ使用合法化で、依存性の強い鎮痛剤の投与が減ったというデータが──果たして大麻で癌の痛みは緩和できるのか?>
医療用大麻(マリファナ)の合法化が進めば、癌患者に対するオピオイド(原料はアヘンと同じケシの実に由来)系鎮痛剤の処方が減る可能性があるという。
米国医師会報(JAMA)オンライン版に2022年12月1日に掲載された論文で明らかにされた。アメリカでは現時点で、37の州と首都ワシントンで医療用大麻が合法化されており、こうした州では現に、癌患者に対するオピオイド系鎮痛剤の処方が相対的に減っている。
調査対象は乳癌、大腸癌、または肺癌と新たに診断され、治療を受けている18~64歳の患者。論文によれば、彼らに対するオピオイドの投与率(オピオイドを1回以上処方された割合)は5.5~19.2%減っていた。
調査した乳癌患者は3万8189人、大腸癌患者は1万2816人、肺癌患者は7190人。65歳未満で成人の新規患者数が多いことから、これら3種類の癌が調査対象に選ばれた。
強力な合成鎮痛剤のオピオイドは癌を含め、あらゆる種類の痛みの治療に頻繁に使われている。しかし依存性が高いため、治療終了後も長期にわたり医師の処方なしに服用する人が増えている。
実際、19年にはアメリカだけで7万人以上が薬物の過剰摂取で死亡しているが、うち4万8000人はフェンタニルを含む非メタドン系合成オピオイドを摂取していた。
論文の筆頭著者でワイル・コーネル医科大学のユィフア・バオ准教授(医療経済学)は本誌に対し、「癌の種類や診断以前にオピオイドを処方されていたか否かによって数値は異なる」と前置きした上で、「医療用大麻の合法化が進んで、ある程度までオピオイド系の代わりに使われている可能性がある」とした。
大麻の副作用は軽い
医療用大麻は吐き気や神経障害の制御に加え、痛みの緩和にも有効とされる。主要成分はカンナビノイドと呼ばれる化学物質だ。だが鎮痛効果に関するエビデンス(科学的根拠)はまだ不十分とされる。
医療用大麻にも副作用はある。吐き気や脱力感などだが、疼痛緩和医療の情報誌フロンティアズ・イン・ペイン・リサーチに22年に発表された論文によると、「癌治療に用いるカンナビノイドの副作用は、おおむね耐えられる程度」だという。