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カタールW杯W杯から追放しろ! 米サッカー連盟のイラン国旗「加工」は正当な抗議か、侮辱か
アメリカ対イランの試合を観戦したイランのサポーター(11月29日) Yukihito Taguchi-USA TODAY Sports-Reuters
<イランで基本的人権のために闘う女性たちへの連帯を示すため、米サッカー連盟がイラン国旗から国章を取り除いた画像を掲載>
米国サッカー連盟は11月26日、サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会についてソーシャルメディアに行った投稿の中で、イランの国旗を、中央にある国章を取り除いた形で掲載した。これにイラン側は激しく反発したが、ネット上では「イランの方こそアメリカ国旗を燃やしているじゃないか」といったものから、「政治を持ち込むべきではない」といったものまで、さまざまな反応が起きている。
■【写真】米国サッカー連盟が投稿した「加工済み」のイラン国旗
イラン側はこれについて、国際サッカー連盟(FIFA)の規則に違反していると反発し、アメリカ代表を即刻ワールドカップから追放し、10試合出場停止とするよう求めている。イラン政府に近い同国のタスニム通信は、同様の主張をするツイートを投稿。だがツイッター上では、タスニム通信のアカウントのトップ画像が、まさに星条旗を燃やすイラストだったことへの指摘が相次いでいる。
■【写真】ツイッターで総ツッコミを受けたイランメディアの「トップ画像」
なおアメリカとイランは1次リーグで共にグループBに属しており、29日には直接対戦。アメリカが1対0で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。
米国サッカー連盟はCNNに宛てた声明の中で、イランの国旗を改変した画像については、24時間限定で掲載したと説明。「基本的人権を求めてイランで闘っている女性たちへの支持」を表明するためだったが、当初から(24時間が経過した後は)再び国章のある国旗を掲載する予定だったと述べた。
抗議デモの余波がカタール大会にも
イランでは、9月に22歳のマフサ・アミニが(スカーフの着け方が不適切だとして)道徳警察に身柄を拘束され、その後死亡したことをきっかけに、抗議デモが拡大している。イラン当局は抗議デモを武力で弾圧。デモ参加者を警棒で殴ったり、デモ隊に向けて実弾を発射したりする様子が動画に撮影されている。
だがこうした残虐な弾圧にもかかわらず、抗議デモが鎮静化することはなく、騒動の余波はカタールで開催中のワールドカップにまで及んでいる。イラン代表のこれまでの試合では、スタンドにデモ隊への支持を表明する横断幕や看板が掲げられ、サポーターもイラン政府の支持派と反対派に分かれ、両者の間で言い争いが起きている。
米国サッカー連盟による問題の投稿は、その後すぐに削除され、この「抗議」に関してアメリカ代表が処分されることはなさそうだ。FIFAはこの一件について、コメントを拒否している。
一次リーグ突破がかかった29日の試合の前には、この国旗画像の改変以外にもちょっとしたトラブルが発生。かつてアメリカ代表の監督を務めたユルゲン・クリンスマンが、イラン代表のカルロス・ケイロス監督とイラン代表について、反則すれすれのプレーを行っていると厳しく非難していた。