韓国「国防白書」、北朝鮮を6年ぶりに「敵」と表記、現地の反応は?
国防白書、6年ぶりに北朝鮮を「敵」と表記
日米韓3か国は連携を強化する方針だ。22年11月13日、ASEAN関連首脳会議に出席するため、カンボジア・プノンペンを訪れた岸田文雄首相とバイデン米大統領、尹錫悦韓国大統領は首脳会合を行なって、北朝鮮のミサイル情報の即時共有を盛り込んだ共同声明を発表した。日米韓は情報共有協定(TISA)を締結しており、日米、日韓、米韓はそれぞれ軍事情報保活保護協定GSOMIAを締結するが、TISAは日韓が米国を介して情報を共有、GSOMIAは要請を受けて情報をやり取りする協定で、即時共有には繋がらない。
北朝鮮のミサイル発射情報は地理的に近い韓国が初期情報を正確に探知できる可能性が高く、韓国内には情報を日本に与えても得られるものは多くないという主張があるが、韓国国防部のムン・ホンシク副報道官は日本海に落下する中長距離ミサイルは日本が精密に探知できる可能性が高く、「(ミサイルの)初期情報はわれわれが優位だが、他方では日本にも強みがある」と説明した。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は国家情報院の人事の刷新を進めている。国家情報院の主な業務はスパイ捜査や工作活動といった対北朝鮮の諜報活動だが、文在寅前政権下で北朝鮮との関係改善を推進する組織に変貌していた。尹政権は文政権が起用した上級職員100人余りを窓際に追いやって、生え抜き職員を昇格させた。
また、尹政権は国防白書で北朝鮮を「敵」とみなす表記を6年ぶりに復活させた。米国もトランプ前政権は在韓米軍の縮小を示唆したが、バイデン政権は2万8500人の兵力を維持する方針だ。
日本企業は韓国駐在員に脱出マニュアルの再点検を指示
一部の日本企業が、韓国駐在員に脱出マニュアルの再点検を指示したという。多くの在韓日系企業が北朝鮮のミサイル発射が頻発した2016年から17年に脱出マニュアルを見直した。17年には在韓米国大使館が在韓米国人の避難訓練を実施し、韓国の財閥企業のオーナー家族が相次いで海外に脱出、在韓日本大使館と外務省は在韓邦人の緊急連絡網を整備して訓練を開始するなど、在韓日本人が顔を合わせるたびに脱出時期と方法が話題になった。
しかし、今年は違っている。韓国人はもとより在韓日本人も相次ぐミサイルに反応することはなく話題に出ることもほとんどない。在韓日本人は、日本の本社と現地の温度差を感じている。