最新記事

日本社会

「パパ活より街に立つほうが効率的に稼げる」 25歳・実家暮らしの彼女が歌舞伎町にたたずむ訳は?

2022年12月23日(金)18時00分
中村淳彦(ノンフィクションライター) *PRESIDENT Onlineからの転載

イケメンとお酒が好きなので担当はコロコロ変わる。

「イケメンがいい。ついた担当と飲むのが楽しい。ホストってカッコイイし、話も上手で、ノリいいし話も聞いてくれる。それなら普通のバーに行けよって言われるけど、ホストってやっぱ違う。やっぱカッコイイ人と飲むお酒って特別おいしい。たぶん女の子にしかわからないけど、男の人がめちゃくちゃかわいい女のコと飲むお酒がおいしいのと一緒だよ」

正社員で就職したが、残業が嫌になり...

高校卒業後、新卒で地元のスーパーマーケットに就職している。レジ担当になって日々レジ業務をしていた。収入は手取りで月15万円、ボーナスは6万円だった。

低賃金は若い正社員なので仕方ないと思っていたが、残業も多かった。20歳のとき、残業が嫌になって派遣の倉庫作業に転職した。倉庫は残業がなく、黙々とピッキングする作業だった。

ラクで性に合っていて5年間続けた。

そんなときに、友だちと歌舞伎町のホストクラブの初回に行った。

ホストはライブとチェキ代だけで済むビジュアルバンドや、メンズ地下アイドルとは桁違いのお金がかかった。お金がかかる趣味をもってしまったので、倉庫以外にメンズエステでも働くことにした。

そして、歌舞伎町の街娼の存在を知って病院前に立つようになった。街娼で手っ取り早く稼ぎたいので、倉庫は辞めた。いまはメンズエステと街娼が収入源となっている。同居する親には「歌舞伎町のコンカフェで働いている」と伝えている。

20代前半で美人でも「1万5000円で渋られる」

星野恵梨香は街娼歴2カ月、歌舞伎町の街娼とは、いったいどのような仕事なのか詳しく聞いていくことにする。

「人が増えてくるのは19時過ぎ。19時くらいに立つと、すぐに声がかかる。『お姉さんは遊べる人?』って言われて、『遊べますよ』って。『いくら?』って聞かれるから、交渉して成立したら遊ぶ。ゴムありで1万5000円。私、ずっと2万円って言ってきたけど、9月になって一気に値段が下がった。いまは1万5000円でやるしかないです」

あまりに安い金額に驚く。20代前半の日本人、スレンダーで美人といういくつもの好条件をもっていてもその金額だという。

「未成年の女の子が安く売っちゃうせいで、それが広まって相場がどんどん下がった。いまはもっと、めちゃ下がっている。ちょっと前までだったらゴム1万5000円は即決なのに、いまはゴムありで1万円でヤッちゃう女の子もいる。最近は1万5000円って言っても、ごめん1万円でいける子を探しているからって断れることが増えた。7月は2万円でポンポンいけたのに、いま2万円でいけたらラッキーなくらい」

売春価格は需要と供給で決まる。ホス狂いの女の子たちがこぞって大久保病院前に立ったことで供給過剰になってデフレ状態になっていた。

40代、50代の中年男性たちが何も知らない未成年の女の子を買い叩いて、その価格が街娼全体に波及してしまっているようだ。

「おじさんが調子に乗って値下げしてくる。1万5000円でめちゃ渋られる。あそこは貧乏なおじさんしかいない」

シャワーは一緒に浴びる

立ち話で交渉、1万5000円で合意したとする。どこのラブホテルに行くかは男性が決める。高級ラブホテルに行く人はほとんどいない。大久保病院に隣接する安価なラブホテルを選ぶ。

「部屋に入ってまず雑談。そこからシャワーを浴びる前に前払いでお金をもらって、一緒にシャワーを浴びる。セックスが終わったら、また一緒にシャワーを浴びる。それでちょっとしゃべって一緒にホテルを出て、バイバイみたいな」

取りっぱぐれがないように前金でお金をもらうのは、売春の基本だ。それぞれでシャワーに入るとお金や物を盗まれるリスクがある。だから、一緒に風呂に入る。風俗のように時間が決まっているわけでない。女の子からすれば早く終わるに越したことはない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    日本では起こりえなかった「交渉の決裂」...言葉に宿…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中