W杯開催カタールの「北朝鮮コネクション」
Qatari-Kim Connection
国連安保理は2017年、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源を断つための制裁決議を採択。その一環として、2019年12月22日までに自国にいる北朝鮮の労働者・監督者を送還することを、各国に義務付けた。
この点で、カタールは大きな違反はしていない。国連安保理への報告書によれば、同国で働く北朝鮮人は昨年1月までにゼロになった。
だが残念なことに、制裁は成功とは言い切れない。中国とロシアが当初の賛同にもかかわらず、取り決めを無視していることが大きな原因だ。
米国務省が7月に発表した「2022年人身取引報告書」によると、中国には今も、北朝鮮人労働者推定2万~10万人が公式命令で派遣されている。ロシアや中国の人権状況を考えれば、北朝鮮の搾取体制の存続に、両国が加担するのも不思議ではない。
4年前のW杯ロシア大会決勝戦は世界各地で35億人以上が視聴した。アメリカや同盟国は、今回のW杯を北朝鮮政府の犯罪行為と北朝鮮国民が強いられる苛酷な現実に対して、国際社会の注目を集める機会として活用すべきだ。
北朝鮮の人々の生活に確かな変化を生み出すことは可能だ。私たちは、もう一刻も無駄にしてはならない。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら