ドイツ首相、「中国を説得する」と言いながら企業家連れて訪中の矛盾
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第1に、ドイツ外交は長期的な戦略思考が欠けている。そのため「状況は常に激変する可能性がある」という地政学の基本ルールに対応できない。
第2に、ドイツ外交は企業利益と深く結び付いている。ドイツが言う外交政策とは要するに貿易政策だという表現も、あながち過大な誇張ではない。その結果がロシア産エネルギーと対中輸出への危うい依存だ。
第3は、不安定な状態が長期間続く「パーマクライシス」現象だ。2021年末に誕生した現政権は新型コロナのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻、エネルギー危機、100万人の難民、インフレと景気減速など難題への対応に追われ、メルケル前首相時代の軌道修正を実行に移すための時間がなかった。
最後に、現政権は情勢が比較的安定していた昨年末に成立した脆弱な連立政権だ。左派の緑の党が外務省と経済省、企業寄りの自由民主党(FDP)が財務省を率いているため、調整の失敗が相次いでいる。ガス料金の上限設定問題、ショルツの訪中、他のEU諸国を圧迫する高値でのエネルギー購入などがいい例だ。
ドイツ外交には今も同盟国への配慮と敵対国への強い姿勢が欠けている。この2つ抜きに「時代の転換」は不可能だ。
ヘルムート・アンハイアー
HELMUT K. ANHEIER
独ヘルティ行政大学院教授(社会学)、米UCLAラスキン公共政策大学院非常勤教授(社会福祉)。共著に『台頭する非営利セクター』(ダイヤモンド社刊)がある。
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