マスク体制のツイッターから離れるセレブたち 「元カノ」は去り、ホラー小説の帝王は激怒した
また、2016年から2年ほどマスクと交際していた女優アンバー・ハードは、買収が完了した直後に無言で突如アカウントを削除。ツイッターをやめた理由は不明だが、元夫で俳優のジョニー・デップとの泥沼離婚裁判を巡ってヘイトスピーチを受け続けてきただけに、タイミング的にみて「言論の自由」の保証を進めるマスクが買収したことへの反発だと推察されている。
ヘイトスピーチの増加を巡っては他にも、NBAロサンゼルス・レイカーズのスター選手レブロン・ジェームズが、マスクが経営権を握って以降、黒人に対する差別用語のツイートが500%増加したとする投稿を引用し、不安をつづっている。
「私はイーロン・マスクを知らない。でも、これが本当なら彼と彼の部下はこれを非常に真剣に受け止めてくれることを願う。非常に恐ろしい。ヘイトスピーチが言論の自由だと主張する酷い奴が多すぎる」と強い懸念を示している。
I dont know Elon Musk and, tbh, I could care less who owns twitter. But I will say that if this is true, I hope he and his people take this very seriously because this is scary AF. So many damn unfit people saying hate speech is free speech. https://t.co/Sy0jvXIBnC
— LeBron James (@KingJames) October 29, 2022
ホラー小説の帝王も激怒
企業や著名人のアカウントが本物であることを示す通称「青バッジ」と呼ばれる認証マークの有料化案を巡って対立姿勢を露わにする著名人もいる。
約700万人のフォロワーを持つホラー小説の帝王スティーヴン・キングは、"Fワード(Fで始まる汚い禁句ワード)"を交え「20ドル払えだと? ふざけるな。お前がこっちに払え」とツイート。経営不振に陥って巨額の負債を抱えて倒産した世界最大のエネルギー販売会社エンロン社の名を出し、「エンロンのように去る」とつぶやいた。
その後も、マスクがCEOを務める電気自動車テスラを販売開始直後に手に入れたが、その後別の車に乗り換えたとツイートし、「素晴らしい車だが、私には自動運転システムはいらない。ツイッターでも同じことが言える」などとツイートし、マスクの運営方針を批判し続けている。
$20 a month to keep my blue check? Fuck that, they should pay me. If that gets instituted, I'm gone like Enron.
— Stephen King (@StephenKing) October 31, 2022
セレブの離脱のみならず、ウォール・ストリート・ジャーナル紙や米自動車大手ゼネラル・モーターズ、大手食品会社ゼネラル・ミルズなど一流企業の間でもツイッターでの広告を一時停止する動きが加速しており、脱ツイッターの勢いは止まりそうにない。
買収からもうすぐ2週間が経とうとしているが、ツイッターが今後どう変わっていくのか、現在も多くの著名人や企業が固唾を呑んで見守っている。
[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。
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