「地獄に落ちる」と脅され続けた──宗教2世1131名に聞いた、心理的虐待の実情
社会調査支援機構チキラボで行った調査に寄せられた、「恐怖による行動の制限」にかかわるような体験談をいくつかみてみよう。
(※具体的な記述が含まれるので、ストレスやフラッシュバックなどに注意してください)
●堕落(祝福前の性行為)をしたら地獄へ落ちる。あなただけではなく、あなたの家族も、先祖も子孫も道連れと教団から教わったり、聞かされた。祝福(結婚)を壊す(離婚)ことも罪であり地獄へ行くと教わった。家族も道連れ(連帯責任)と学んだ。
●勉強やスポーツで良い成績をだすと信心で功徳を得たといわれ、失敗すると前世の業で信心が足りないと言われた。一人暮らしを始め、脱会すると伝えたとき「お前は外道になり、そのせいで家族は地獄に堕ちる」と言われたのは衝撃だった。
●母親に、「女の子の友達と遊ぶなら、お母さん今すぐ死んで地獄に堕ちるよ」と言われた。
●活動を頑張るととにかく褒めちぎられる。逆に、活動以外のこと(娯楽や学校の部活、一般的な習い事など)は「サタンの誘惑」という扱いで、就職や大学進学した人は「誘惑に負けた」と非難されたり陰口を言われたりしていた。
●「世の人(非信者)と仲良くなってはいけない。全てハルマゲドンで滅ぼされるから」「お金持ちを目指してはいけない」「あなたが伝道しないと、他の人に対して血の罪(ハルマゲドンが来ることを知っていたのに、伝道してそれを非信者教えなかったことで、その非信者の責任を負わされるという概念)を負う」と言われた。
●子どもの頃、正座でお経を唱える読経が辛くてサボった日、母がかけていたアイロンで私がうっかり火傷をした時、母は困ったような笑顔で「ほら。サボるから罰が当たった」と言った。火傷の手当ての前に。今でも写真を眺めるように焼き付いている。
●教団では、活動に参加せず、教義のもとで信仰しなくなった者のことを「退転者」と言って非難する。それを聞いて私たちは「ああ(退転者)にだけはなってはいけない」というかなり強いメッセージを受け取る。また、活動に参加しない者を「未活(みかつ:未活動の意)」と呼び、「あそこの家は未活だから」などと聞くと、「退転者」に近いくらい悪の印象を受ける。
●教団を抜けた人の家が火事になったから、抜けるなんて恐ろしいことだと繰り返し祖母が話していた。