最大1万人が参戦!? あの国の元特殊部隊隊員たちがロシアの戦力に
Recruiting Afghans
アメリカは責任を放棄
一部の元隊員はメッセージアプリのワッツアップやシグナルで接触を受け、ロシアの「外国人部隊」に勧誘されている。最大1万人が誘いに乗りかねないとして、アフガニスタンの元軍隊・治安関係者はこうした動きを懸念する。
「彼らは国も職業もなくした。もう失うものは何もない」と、ある情報提供者は言う。
「パキスタンやイランで日給3~4ドルの仕事、あるいはトルコで日給10ドルの職にもありつけない彼らが再び兵士になり、報酬1000ドルを手にする機会を拒むはずがない。元隊員たちは兄弟同然だから、1人を採用できたら、かつての所属部隊の仲間の半数が後に続く。小隊規模の人員を集めるのに時間はかからない」
今年2月のロシアによる侵攻で、国際社会の注目がウクライナに転じて以来、アフガニスタンの元特殊部隊員は見捨てられている。アメリカや同盟国はタリバンの復讐から逃れる手助けをするどころか、責任放棄状態だ。
マイケル・マコール米下院議員は、昨年のアフガニスタン撤退に関する報告書で、元特殊部隊員はアメリカの敵対国による勧誘の標的になりかねないと警告している。
過激派組織「イスラム国」(IS)傘下のグループ「ISホラサン州(IS-K)」などの「国際テロ組織や中国、ロシア、イランといった敵対国に協力を強要されたり、誘い込まれたりすれば、アメリカの国家安全保障のリスクになる可能性がある」
アフガニスタンの元特殊部隊員を含む対米協力者について、マコールはそう指摘している。
アフガニスタン国内で潜伏する35歳の元特殊部隊大尉は、イランの首都テヘランにある勧誘拠点とコンタクトを取りたいという大勢の元同僚に力を貸したと証言する。
彼らはアフガニスタンからイラン経由でロシアへ空路で移動するという。その先のことは不明だ。「ロシアの誘いを受け入れた元隊員の携帯電話は電源がオフになる。全てが極秘態勢で行われている」
元大尉やかつての軍隊仲間は、アフガニスタンやイランで極めて厳しい生活を送る。
「とても失望している。アメリカ人やイギリス人、ノルウェー人の軍事顧問と一緒に18年間、危険な任務を遂行してきた。今では隠れて暮らし、1秒ごとに苦しい思いをしている」と、元大尉は話す。