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声の科学安倍銃撃事件後、岸田首相の「涙声」に悲しみは感じられなかった
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AP/AFLO
「声という音」には、それを聴く者にも、自分自身にも作用する大きな力がある。だが、ほとんどの日本人は声の使い方を知らないと、「声学」を提唱する山﨑広子氏は言う。本誌2022年11月1日号では「声の科学」特集を組み、その使い方、訓練法、さらにはリーダーたちの声の分析を山﨑氏にしてもらった。声はリーダーの隠された「素顔」を白日の下にさらす。
岸田文雄(日本国首相)
岸田首相の声からは感情を読み取ることが難しい。「決まり切った声」をあまり崩さないからだ。
張りのある声が出るのに、驚くほど印象に残らない。
言い間違いをしてもさほど狼狽もせず淡々と答弁や会見を続けるあたり、今までの首相にはいなかったタイプである。
安倍晋三元首相銃撃の際の記者会見では、何度も鼻をすすっていたが、声にはほとんど変化がなかったことが印象的だった。
感情が揺り動かされて涙が出てきたのなら、もっと鼻声になるはず。つまり、ただ鼻をすすっただけである。
その場の雰囲気で少し涙ぐんだかもしれないが、声からは悲しみは全く感じられない。死を悼む言葉、鼻をすするという行為と声との乖離が気になった。
声のポテンシャルは高いので、使い方次第で大化けする可能性はある。
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