家事分担を妨げる「男は仕事、女は家事」という日本のジェンダー意識
仕事時間が短くなれば男性が家事・育児に勤しむようになるかというと…… Tijana87/iStock.
<男性の労働時間が減っても、その分だけ家事をする時間が増えるとは限らない>
先週の記事「日本の男性の家事分担率は、相変わらず先進国で最低」で見たように、日本の男性の家事分担率は国際的に見て低い。OECDの統計によると、15~64歳男性の1日の家事等の平均時間は41分で、女性は224分(2016年)。男女の合算に占める男性の割合は15.4%でしかない。他国の同じ数値を計算すると、アメリカは37.9%、スウェーデンは43.7%にもなる。
日本の男性は、仕事時間がべらぼうに長いからではないか、という意見もあるだろう。同じくOECDの統計によると、日本の15~64歳男性の1日の平均仕事時間は452分で、アメリカの332分、スウェーデンの313分よりだいぶ長い。家事等の平均時間は順に41分、166分、171分と逆の傾向だ。
以上は3つの国のデータだが、より数を増やして、仕事時間と家事時間の関連を可視化してみる。横軸に仕事時間、縦軸に家事等の時間をとった座標上に、OECD加盟の30カ国のドットを配置すると<図1>のようになる。
日本は仕事時間が長く、家事等の時間は短いので右下にある。対極にあるのは、北欧のデンマークだ。傾向としては、仕事時間が長いほど家事等の時間は短い、両者はトレードオフの関係にあると言えなくもない。
仕事時間が短ければ、自宅にいる時間も長くなり、家事や育児にも勤しむようになる。いたって自然なことだ。政府の『男女共同参画白書』でも、男性が家事・育児・介護等に参画できるよう、長時間労働を是正する必要があると言及されている。