「現在の戦略エスカレーションは悪あがき、プーチンはもはや戦局をコントロールできていない」──元ロシア連邦議員
'Paranoid' Putin Has Lost Control of His Future—Prominent Russian Lawyer
だが現実は違った。ロシア軍は春にウクライナ北部で屈辱的な敗北を喫した後、何とか形勢を逆転させようと何度も総力戦を仕掛けたが、そのたびに押し返されてきた。
「作戦開始以来、戦争の目標は何度も変更された」と、フェイギンは言う。「将官や前線の指揮官のクビも何度もすげ替えられ、目標となる日付もどんどん先延ばしされた......プーチンは今やアジアと中東で新たな同盟国を獲得しようと躍起になっている」
プーチンは「この戦争が突きつける問題をどう解決していいか分からず、自信を喪失している」と、フェイギンはみる。
「前線から新たな敗北が伝えられるたびに、彼はそれを自分の個人的な敗北と受け止める」
予備役の動員令、核使用の脅し、ロシア軍が部分的に占領した東・南部4地域の一方的な併合、ミサイルとドローンによる無差別爆撃──このところの戦略のエスカレーションは、悪化の一途をたどる戦況を何とか立て直そうとするプーチンの悪あがきにほかならないと、フェイギンは言う。
「プーチンとしては、少なくとも4地域の併合を既成事実として西側に受け入れさせなければ格好がつかない。前線からの報告はかんばしいものではなく、予備役動員も戦況を変えないばかりか、むしろ悪化させかねない。それはプーチンも分かっている」
敗北に対処できないクレムリン
それでも核使用には踏み切らないだろうと、フェイギンはみる。たとえ小型核であれ、核を使えば自らの身の破滅を招くことになるのは目に見えているからだ。
「だからこそトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領などのルートを使って西側に働きかけ、何とか出口を見いだそうとしているのだ」
ロシアがウクライナで負ければプーチンは終わりだと言われているが、部分的な敗北でさえ、22年に及ぶプーチンの長期支配を終わらせるには十分かもしれないと、フェイギンは言う。
「ウクライナが全土を奪還するか、あるいはクリミアは残しても、(東部のドネツク、ルハンスク州と南部のヘルソン、サボリッジャ州の)4地域からロシア軍を撤退させたら、プーチン体制は崩壊するだろう」
プーチンとその取り巻きは「敗北にどう対処すべきか分かっていない」というのだ。
「プーチンがそうした敗北を生き延びることはまず不可能だろう。政治的にも、そして個人的にも......」
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