「親指の皮を分厚く切り落とした」指紋偽装した男たちが逮捕...鉄道採用試験で不正 インド
一度は認証を突破できたものの......
職を得ようと替え玉を雇い、指先まで削ぎ落とした依頼人だったが、その努力が報われることはなかった。試験関係者はインドPTI通信に対し、「試験監督が消毒液を男の左親指に吹きつけると、貼ってあった皮膚が剥がれ落ちたのです」と証言している。
替え玉男性が指先の皮膚を装着し、試験会場の認証機でスキャンしたところ、1回目のスキャンは想定通りに突破することができた。だが、警察が発表した第一報報告書(FIR)によると、2回目のスキャンで偽の指紋が見抜かれたという。
2度目のスキャンの際、数回試行しても指紋が認識されなかったため、監視員は不審な印象を抱いたようだ。同時に、 あるいは指が汚れているのではないかと考え、アルコールによる消毒を命じた。男の指をアルコールで消毒したところ、ダミーの皮膚が剥がれ落ち、なりすましが発覚することとなった。
不正行為により、依頼者男性と替え玉男性の両方が逮捕された。公文書偽造、なりすましによる不正、そして共謀の3つの罪状が適用される見通しだ。
景気減速でも安定の鉄道職が人気に
インドでは国営の鉄道企業が大口採用を続けており、安定した就職先として人気を集めている。しかし、就職競争は熾烈だ。
首都ニューデリーのミント紙によると、2020年には約6万人分の新規採用枠に対し、474万人から応募が殺到した。同紙は「世界最大級の採用活動」だとしている。
一方、当時からコロナ禍を受け、マスク着用中の本人確認の難しさが指摘されるなど、不正行為への懸念が高まっていた。
狭き門の突破を試みた男性だが、指先を失い、経歴に汚点を残しただけの結果に終わった。本人としては怪我を覚悟で安定した将来への希望を掴みたいとの思いだったことだろうが、不正によって望んだ結果を手にすることはできなかったようだ。