ロシアの戦闘能力にダメージを与える制裁「輸出管理」とは何か
STRANGLING RUSSIA
もちろん、ロシアにも制裁に対抗してきた長い歴史がある。英王立統合軍事研究所(RUSI)が最近、ロシアの最新軍事システム27点(通信システムや巡航ミサイル、電子戦の装置など)を調べたところ、アメリカの輸出管理対象製品が80種類以上含まれていたという。
これは輸出管理の有効性について、いくつかのことを物語っている。
第1に、ロシアでは中国と同じくらい軍民融合(民間資源の軍事利用や、軍事技術の民間転用)が進んでいること。第2に、一般市民への影響に配慮して消費財を制裁対象から外すことは、輸出管理の有効性に大きなダメージを与えること。そして第3に、第三国経由の輸出入の管理が難しいため、重要品目の完全な供給阻止は非常に困難であることだ。
冷戦期以来の輸出管理体制とはいえ、ロシアの戦争遂行能力に確実にダメージを与えるためには、継続的な監視と厳格な取り締まり、そして定期的な見直しが欠かせないのだ。