最新記事

テロ

ミャンマー、久保田氏収監の刑務所で爆発2回 爆弾テロか8人死亡

2022年10月20日(木)12時05分
大塚智彦
爆発のあったインセイン刑務所

爆発のあったインセイン刑務所 CNA / YouTube

<反軍政の武装市民組織による犯行か>

ミャンマーの中心都市で旧首都のヤンゴンにあるインセイン刑務所で19日爆発があり、刑務所職員や民間人など8人が死亡、15人が負傷する事件が起きた。

地元の独立系メディア「ミャンマー・ナウ」などの報道によると、爆発は刑務所内に持ち込まれた爆弾によるもので、ミャンマー治安当局は爆弾テロとの見方を示している。

目撃者などの証言では死亡した8人は爆発によるものではなく、爆発の直後に刑務所の監視タワーから無差別に発砲された銃撃による犠牲者であるとの見方を「ミャンマー・ナウ」は伝えている。死者の中には刑務所職員3人、民間人5人が含まれ、負傷者15人は民間人だという。

インセイン刑務所には日本人映像ジャーナリストの久保田徹氏が10年の禁固刑で服役中だが、日本大使館によると久保田氏はケガなどなかったという。

面会所の小包爆弾が爆発か

インセイン刑務所をはじめとするミャンマーの刑務所は受刑者と家族などの面会を禁止し、弁護士を通じたやり取りに限定している。

しかし家族などからの食料や衣服、医薬品などの差し入れは認めているため、インセイン刑務所では面会受付所がこうした差し切れの受取場所となっており、連日受刑者の家族などが詰めかけていた。

19日午前9時40分頃、差し入れを装った小包が何らかの起爆装置で爆発したとみられており、外部の人物が関与したのは間違いと捜査当局は推測しているという。

「ミャンマー・ナウ」に掲載された爆発後の写真には差し入れ品受け取り所内のカウンター前の床に散乱した衣服や血糊が残る様子が写っており、混乱の様子が生々しく残されている。

この受け取り所内で1発、そのすぐ外でもう1発と合計2発の爆弾爆発があったとされている。

無差別射撃による犠牲者

さらに報道によると、爆弾自体の威力がそれほど大きくなかったためか被害は負傷者に留まっていたが、爆発に動転した監視タワーの警備員が差し入れ所に向けて無差別に発砲。犠牲者8人はその銃弾で命を奪われたという。

さらに民間人の犠牲者5人の遺体は刑務所職員によって現場からすぐに運び去られたというが、死傷者の中には収監中の学生民主活動家のリン・テット・ナイン氏に差し入れを持参していた母親が含まれているとの情報もある。

インセイン刑務所ではこの日予定されていた刑務所内に設置されている特別法廷での審理を全てキャンセルし、爆発事件の調査が進められたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米経済活動は横ばい、関税巡り不確実性広がる=地区連

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米中緊張緩和への期待で安心

ビジネス

トランプ氏、自動車メーカーを一部関税から免除の計画

ビジネス

米国株式市場=続伸、ダウ419ドル高 米中貿易戦争
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    ウクライナ停戦交渉で欧州諸国が「譲れぬ一線」をア…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中