韓国観光業の復活も日本政府が鍵を握っている
韓国は8月から期間限定で観光ビザを免除
日本政府は早ければ10月にはビザ免除を再開したい考えだが、韓国は8月から期間限定で観光ビザを免除している。
ソウル市は8月3日、同月31日まで日本、台湾、マカオからの入国者のビザを免除すると発表した。大規模な観光イベントを控えたソウル市が、文化体育観光部、法務部、外交部など関係官庁と協議したという。8月31日には文化体育観光部がビザ免除を10月31日まで延長すると発表した。
ビザは韓国内では出入国管理事務所が発給し、国外では領事部や領事館が発給する。出入国は法務部の所管だが、外交部が発表するのが通例で、20年3月の日本人の入国制限も外交部が発表した。8月のビザ免除は自治体に過ぎないソウル市が発表し、延長も管轄外の文化体育観光部が発表した。
ビザ免除は相互主義が通例だ。日本が韓国人に対するビザを免除するなら韓国も日本人の入国ビザを免除する。しかし、日本は韓国が求めたビザ免除に一切、応じようとはしなかった。
韓国は6月1日から観光ビザの発給を開始したが、駐日韓国領事館にビザを求める人々が殺到し、申請受付けから発給まで1か月近くかかるなど、発給業務に支障が出ていた。
8月は多くの日本人観光客が期待できる上、領事館業務の緩和はビザ免除が有効だが、日本政府がビザ免除に応じない状況下で、一方的なビザ免除を行うと弱腰という批判が出かねない。
そこで、8月はソウル市の要請を受けた暫定措置、9月と10月はソウル市や釜山市と観光当局の要請を受けた暫定措置という口実を作るため、権限を持たない自治体や観光当局が発表したと考えられる。
日韓いずれも相手国への印象が好転
韓国の民間シンクタンク東アジア研究院(EAI)と日本の非営利シンクタンク言論NPOは9月1日、「2022日韓国民相互認識調査」報告書を発表した。
日本に好印象を持つ韓国人は昨年の20.5%から30.6%に上昇し、良くない印象を持つ人は63.2%から52.8%へと大幅に減少した。また、日本人の観光に対する好感度も昨年の25.4%から30.4%へとわずかながら上昇し、良くない印象を持つ人も48.8%から40.3%に大幅に減少した。日韓いずれも相手国への印象が1年前と比べて好転している。
日本政府が観光ビザを免除すれば、韓国も公式にビザを免除するだろう。日本観光業のみならず、韓国観光業の復活も日本政府が鍵を握っているといえそうだ。