米オクラホマの刑務所、童謡を繰り返し聞かせる「拷問」受けた受刑者が死亡
死亡したジョン・バスコ KFOR Oklahoma's News 4 / YouTube
<童謡を繰り返し聞かさせる「虐待」を受けた受刑者が謎の死を遂げた──>
刑務官に童謡を無限ループで強制的に聞かされる「拷問」を受けた受刑者が、死亡した状態で発見された。AP通信などが伝えた。
麻薬密売の容疑で8日に米国オクラホマ州刑務所に収監されたジョン・バスコは、わずか3日後の11日午前3時50分ごろ意識を失った状態で発見された。
看守たちは緊急救助要員たちが到着するまでに応急措置を施したが、バスコは息を吹き返すことはなく、4時6分に死亡宣告を受けた。
刑務所のマーク・オクプグランド報道官は「亡くなったバスコに暴行を受けた形跡はなく、捜査官が薬物の過剰摂取の可能性を調査する」と発表。州検死局が死因を調べるという。
疑惑の刑務所
ここまでならそれほど珍しいことではないが、問題になったのは彼が、このオクラホマ州刑務所で今年死亡した14番目の収監者という点だ。同刑務所はこの数カ月間、収監者の死と脱獄が急増していて批判を受けている。
さらに問題になっているのは彼が「かつてこの刑務所に収容されていたときに拷問を受けていた」として元刑務官らを訴えていたという事実だ。
バスコは亡くなる前に「刑務官2人に、後ろ手に手錠をかけられた状態で童謡を繰り返し聞かされる拷問を受けた」と、オクラホマ州当局を告訴していた。この異常な刑務所の慣例は2019年から継続されていたことが明らかになっており、被害者もバスコ以外に3人もいたという。また当時の刑務所副所長もこうした事実を知りながらも3年あまりの間、何の対応もしなかった容疑で起訴されている。
バスコの担当弁護士のキャメロン・スプラドリングは、一連の事件を「拷問」と表現する。バスコは接見の際にかつての拷問について「最長4時間も手錠で拘束されたまま童謡を聞くことを強制され、童謡が廊下全体に響くほど大きかった」と語っていたという。
スプラドリング弁護士は「刑務所に到着してから3日もたたずに都合よく死亡しました。どうしたらこんなことが起きるんでしょう? 検事は裁判の証人のひとりを失いました。私には問題があるとしか言えません」と語った。
同弁護士は「今回のバスコの死には不審なところがある」として、刑務所側に現場の保存を求めているという。