最新記事

陰謀論

女王の棺は空っぽ?──イギリス人の疑問に答える

Royal Conspiracy Theory Claims Queen Elizabeth's Body Is Not in Her Coffin

2022年9月15日(木)15時42分
シモーネ・カーター

ウェストミンスター寺院に安置された女王の棺と近衛兵たち(9月14日)UK Parliament/Roger Harris/REUTERS

<死去の日から10日以上も国中を引き回される棺に遺体が入っているはずがない、という「陰謀論」が広がるのには理由があった>

英エリザベス女王の死去(享年96)を受けて、世界中の指導者や一般市民がインターネット上で追悼の意を表す一方、ネットの一角では「女王の棺は空っぽでは」という「陰謀論」が盛り上がっている。

英王室のウェブサイトによれば、9月8日に亡くなったエリザベス女王の国葬は19日。その間、女王の棺はスコットランドでの儀式を経てロンドンに運ばれ、14日にバッキンガム宮殿からウェストミンスター宮殿へと運ばれた。一般市民の弔問も始まり、国葬の日の朝まで公開安置される。

【動画】過労?女王の棺を守る王室警備兵バッタリ倒れる

ネット上では、これだけ長い間あちこちに運ばれ、公開安置されている女王の棺のなかは、「本当は空っぽ」ではないかと疑う者もいる。

たとえばイギリスの子育て世代に人気の掲示板サイト「マムズネット」には14日、ある人物が「女王の遺体は実は別の場所に安置されている可能性があると聞いた」と投稿した。「何人もの人が、あの棺の中に女王はいないのではないかと言っている。女王の祖父の時もそうだった」1936年に亡くなったジョージ5世のことだ。

棺の公開安置は「形式的なものにすぎない」と主張

同掲示板サイトのユーザーからはさまざまな反応が寄せられた。

「私も、棺は空ではないかと思っていた」と、あるユーザーは言う。「女王の遺体をイギリスの端から端まで移送して、その全行程を各国のテレビが中継しているというのは、警備の観点からするとまさに悪夢だと思う。どこかのテロ組織が身代金目的で棺を奪おうと考えた場合、容易にそれができてしまう!」

別の人物は、この考えを「馬鹿げている!」と一蹴。「女王の遺体にはエンバーミング(防腐処理)が施され、棺には鉛の内張りが施されているから、とてつもなく重いんだ」と、強奪の可能性を否定した。

「亡くなった母親を、あんな風にあちこち連れ回させたい人がいるはずはない」と、疑うユーザーも。「あれは一般市民向けの形式的なもので、本物のご遺体は国葬の日まで安全な場所に保管されているんだ」

女王の遺体は既に埋葬済み、という説もある。ライフスタイルサイトの「The List(ザ・リスト)」によれば、女王の葬儀は非公開で行われ、棺が開けられることはない。さまざまな憶測を呼ぶゆえんだが、遺体をできる限り長期間保存するための措置だという。
棺はオーク製で、腐敗防止の処理が施された特注品。王室メンバーが死去した場合はこうした棺を使用するのが一般的だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トヨタのHV、需要急増で世界的に供給逼迫 納期が長

ビジネス

アングル:トランプ関税発表に身構える市場、不確実性

ビジネス

GPIF、25年度以降も資産構成割合維持 国内外株

ビジネス

欧州自らが未来を適切に管理する必要、トランプ関税巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中