安倍氏国葬に国内外4300人参列、割れる賛否 岸田首相、弔問外交をアピール
政府は午後に東京・千代田区の日本武道館で安倍晋三元首相の国葬を行う。写真は26日に武道館で行われた国葬のリハーサルで撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
政府は27日午後、7月に銃弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬を行った。国内外からおよそ4300人が参列し、第2次安倍政権下で外相を務めた岸田文雄首相、官房長官を務めた菅義偉前首相らが弔辞を読んだ。銃撃事件が与党・自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係を明るみにし、国葬反対が強まり支持率が急落する中、岸田首相は「弔問外交」をアピールしたい考えで、午前にはオーストラリアやインドの首相らと立て続けに会談した。
「長さより達成した事績で記憶」
国葬は午後2時すぎから東京・千代田区の日本武道館で行われた。葬儀委員長の岸田首相は弔辞の中で、安倍氏が官房長官時代から取り組んだ北朝鮮による日本人拉致問題に触れ、被害者が家族のもとに一刻も早く帰れるよう全力を尽くすと遺影に呼びかけた。さらに戦後最長となった在任期間に言及し、「歴史はその長さよりも、達成した事績によりあなたを記憶する」と語った。
政府が首相経験者の国葬を行うのは、戦後では吉田茂氏以来2例目。法律に国葬の規定はないが、岸田首相は安倍氏の連続在任期間が戦後最長だったことなどから開催を決めた。
海外からはインドのモディ首相やオーストラリアのアルバニージー首相、ハリス米副大統領など、218の国と地域・機関の約700人の要人が出席した。うち、48人は元職を含め首脳級。中国からは全国政治協商会議の万鋼副主席が、ロシアからはシュビトコイ国際文化協力担当大統領特別代表が参加した。国内からは約3600人が参列した。
官房長官として安倍政権を支えた菅前首相は友人代表として弔辞を読み、ふと1人になると、首相官邸でともに過ごした日々の様子がまざまざとよみがえってくると振り返った。「安倍氏というリーダーがいたからこそ、特定秘密保護法や一連の平和安全法制など難しかった法案をすべて成立させることができた」と述べた。
同日午前から日本武道館近くで行われた一般献花には、多くの人が列を作った。予定の午前10時より約30分早く献花が始まると、集まった人たちが次々と花をささげた。テントの下に安倍氏の写真と台が設置され、台湾旗を持った男性の姿もみられた。東京都の60代主婦は「早めに家を出たつもりだったけど、たくさんの人が並んでいた。賛否両論で反対の方も結構多いと聞いているが、やはり国葬になると多くの人が手を合わせに来るのだな感じた」と話した。