最新記事
ウクライナ情勢ウクライナ4州の住民投票終了へ ロシア動員抗議続く、出国制限も
ウクライナ東南部4州の親ロシア派支配地域で実施されているロシアへの編入を問う住民投票が27日終了する。ロシアではウクライナ侵攻の劣勢打開を狙ってプーチン大統領が出した部分動員令に反発する動きが続き、当局が出国制限に乗り出すとの報道も出ている。写真は、住民投票を知らせる「未来」と書かれた横断幕。9月26日、ザポロジエ州メリトポリで撮影(2022年 ロイター/Alexander Ermochenko)
ウクライナ東南部4州の親ロシア派支配地域で実施されているロシアへの編入を問う住民投票が27日終了する。ロシアではウクライナ侵攻の劣勢打開を狙ってプーチン大統領が出した部分動員令に反発する動きが続き、当局が出国制限に乗り出すとの報道も出ている。
住民投票は23日から東部ドネツク州とルガンスク州、南部へルソン州とザポロジエ州の一部地域で行われており、西側諸国は偽りの住民投票だとして結果を認めない考えを表明している。
ロシアでは、動員令により約30万人の予備役が招集される見通しとなったことを受け、侵攻が始まって以来初めて継続的な抗議活動が繰り広げられている。監視団体の推計によると、これまでに少なくとも2000人が逮捕された。
出国も相次いでおり、海外便の航空券は売り切れ、国境検問所では車の渋滞が起きている。旧ソ連圏でロシア国民が査証(ビザ)なしで入国できる親欧米派の隣国ジョージア(旧グルジア)への唯一の陸続きの国境では、48時間の行列ができたと報じられている。
ロシアのペスコフ大統領報道官は国境を閉鎖する可能性について問われ「この件に関しては何も知らない。現時点で何も決定していない」と述べた。
国外に拠点を置くロシアの独立系メディア「メドゥーザ」と「ノーバヤ・ガゼータ」は、いずれも関係者の話として、当局が男性の出国を禁止する計画を進めていると報じた。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、住民投票が行われている地域の1つ、ドネツク州の軍事情勢が「とりわけ困難な状況」という認識を示した。
「われわれは敵の活動を封じ込めるため、あらゆる手を尽くしている。(ドネツク、ルガンスク両州の)ドンバス地域は現時点でウクライナの最優先事項だ。なぜなら占領者の第一の目標だからだ」と語った。
ルガンスク州のガイダイ知事は住民投票の様子について、治安当局に付き添われた親ロシア派の職員が投票箱を持って家を一軒一軒訪れ、要求された通り投票しなかった住民の名前を書き留めていると話した。
セルビアやカザフスタンといったロシアの昔からの同盟国でさえ、編入に関する住民投票を認めないとしている。
ロシア政府は、投票は任意であり、投票率も高いと主張。2014年にクリミア半島で住民投票を実施した際には、住民の97%が併合に賛成したと宣言した。