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「冬が越せない......」、真冬でも暖房温度19度まで、原発議論も再燃するドイツ

2022年9月5日(月)18時32分
モーゲンスタン陽子

ガスはおもに産業や家庭の暖房に使用され、原子力エネルギーは発電に使用されるため、冬のエネルギー需要の解決に大きく貢献することはないという。原発の新規建設も議論されているが、ケーニッヒはこれにも懐疑的なようだ。「コストが高すぎ、建設期間が長すぎ、壊滅的な事故に対する完全な安全性を保証することもできない。さらに、核廃棄物の最終貯蔵地の問題もまだ解決されていない」

さらに、ドイツもEUも肝心の核燃料の供給をロシアに依存している。2020年、EU はウランの 20.2% をロシアから、さらに 19.1% をロシアの同盟国であるカザフスタンから入手した。ルーマニアのクルチャ鉱山が 2021 年 11 月に閉鎖されて以来、欧州連合内ではウラン鉱山は稼働していない。原発オペレーターである RWE、EnBW、Eon でさえ、稼働期間の延長について非常に懐疑的だという。「12月31日を超えて運用を継続するには、技術的および法的性質の高いハードルが伴う」とRWEは指摘している。

消費者物価は9.1%増

その他、EU統計局ユーロスタットが31日発表した8月のEU圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%増で過去最高となった。コロナ関連でも、秋冬からのマスク着用義務強化などがすでに発表されている。欧州にとっては暗く長い冬になりそうだ。

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