「これではまるで妓生!」 韓国政府、ヴォーグとコラボした大統領府ファッション撮影で炎上
炎上したヴォーグ・コリアのファッション写真 MBN News / YouTube
<K-POPの次は伝統文化の発信! と意気込んだ企画が国会を巻き込む大炎上に......>
韓国の大統領府「青瓦台」の迎賓館でモデルのハン・ヘジンがピンクの花で飾られたドレスを着て椅子に横になって優雅にポーズをとっている──
これは韓国政府の文化遺産ツアーキャンペーンとファッション誌ヴォーグ・コリアがコラボした「大統領府そしてファッション!」という企画で、韓国の伝統衣装「韓服(ハンボク)」(チマチョゴリ)を大統領府で撮影したファッショングラビアだ。
ところがヴォーグ・コリアが特集ページを22日にウェブサイトに公開したとたんに炎上、政治問題にも発展している。MBNなど韓国メディアが伝えた。
かつての大統領公邸、青瓦台とは?
今回の問題は撮影場所が大統領府青瓦台という特別な場所であったことにある。
韓国大統領府はソウル市の中央にあり、日本統治下に作られた旧朝鮮総督官邸を1948年に当時の李承晩(イ・スンマン) 大統領が大統領執務室として利用し始めた。本館の屋根が青い瓦になっていることから別名青瓦台とも呼ばれる。1991年には現在の新たな大統領官邸が建てられ、それまでの大統領官邸は1993年10月に解体された。
2022年の大統領選挙で当選した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、就任以前から大統領執務室や秘書室をソウル市龍山区に移転することを選挙公約にしており、公約通りに5月10日の就任日当日から大統領府青瓦台は大統領執務室兼官邸としての役目を終えた。
現在は市民公園として国民に解放され、今後歴代の大統領に対する歴史博物館のような形で運営される予定だ。
炎上の原因とは
今回炎上の原因となったのは、歴代大統領が執務室として利用してきた歴史的な建造物である大統領府でファッション・グラビアを撮影するのが適切かという問題から、モデルたちの大胆な衣装やポーズも俎上に上がっている。
文在寅(ムン・ジェイン)政権で大統領府儀典秘書官をつとめた卓賢民(タク・ヒョンミン)は、今回のヴォーグ・コリアのグラビア写真について、日本統治下に朝鮮時代の宮殿・昌慶宮が動物園に変えられたことを引き合いに出して連日批判している。
「ヴォーグの撮影は今、起きている事件の一つであるだけで、問題の核心は、拙速に大統領府を開放したことと、大統領府をどう活用するかについての真剣に検討されていなかったという点です」
「『韓服を広報するために撮影した』と説明していたが、他にもいろいろな服装もあり、しかも日本のアバンギャルドを代表するデザイナー岡﨑龍之祐の作品もあった」
一方で卓氏は「モデルのハン・ヘジン氏は、何の問題もない。問題は政府の未熟さとアーティストやアーティスト集団の評判に害を及ぼすことである」とも語った。
ヴォーグ・コリアは一連の騒動を受けて、「大統領府そしてファッション!」の特集記事と写真をウェブサイトやSNSからすべて削除した。