ウクライナ戦争の帰趨を決める「ヘルソンの攻防」が始まった
Why Kherson Is Key to Vladimir Putin's War as Counter-Offensive Begins
ドニエプル川の両岸に広がるヘルソン市と州は、ロシアが2014年に占領したクリミア半島への玄関口にあたる。この地域を奪還すれば、ウクライナ軍のクリミア奪取に向けた攻撃の拠点になりかねない。ウクライナは関与を表明していないものの、クリミアではすでに、ロシアの軍事施設などを標的にした爆発事件が何度も起きている。
ヘルソンは戦争が始まってすぐに陥落したため、マリウポリやセベロドネツクといった都市のように破壊されずにすみ、ロシアの占領軍による政治支配が確立している。
キーウとウクライナ第二の都市ハルキウの占領に失敗したロシアにとって、ヘルソンを失うことはロシアが獲得した最も具体的な成果の一つを消し去ることになる。
また、この地域にはクリミアを支える発電所や貯水池があり、農業的にも経済的にも重要で、ウクライナの黒海を通じた穀物輸送の再開にも役に立つ可能性がある。
「この地域には象徴的、戦術的な重要性がある」と、地政学的戦略家のアルプ・セビムリソイは本誌に語った。
さらに、ウクライナがヘルソンを取り戻すことは、「クリミア再統合のビジョンを示す」だけでなく、「黒海におけるウクライナの軍事力を向上させる部隊の配置」が可能になると述べた。また黒海経由の穀物輸出でトルコとの協力関係を強化することもできるという。
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