最新記事
アフガニスタン除け者国家同士、タリバンとロシアが石油で手を組む
Taliban Approaching Deal to Buy Russian Oil, a Boon to Putin's Economy
息子を抱き、サウジアラビアからの援助物資を受け取りにきた男性(カブール、4月25日) Ali Khara-REUTERS
<アフガニスタンの政権を奪取して約1年、国際的な経済制裁に苦しんできたタリバンは、ロシアから石油と食料を買うことにした>
アフガニスタンのタリバン政権とロシア政府が、貿易協定をまとめようとしている。国際的に孤立したタリバンが、喉から手が出るほど欲しいエネルギーを購入できるようにすると共に、厳しい制裁を受けているロシアの経済を下支えする取引だ。
ロイターによれば、タリバンの代表団は8月29日にモスクワを訪問し、小麦、ガス、石油の輸入を確保するためロシアと交渉した。2021年に武力で政権に返り咲いたタリバンは、国際的な制裁と孤立から踏み出そうとしている。ウクライナへの武力侵攻で西側の制裁に苦しむロシアも同様だ。
アフガニスタン商工省の匿名の幹部はロイターに対し、間もなく契約がまとまる見込みだと語った。
2021年に米国がアフガニスタンから撤退し、強硬なイスラム主義組織であるタリバンが実権を握って以来、世界のどの政府もタリバン政権を正式に承認していない。経済の大部分を依存していた海外援助が止まり、アフガニスタンの人々はさらに貧しくなり、食べる物にも困る有り様だ。だが、ロシアや中国など米国と敵対する国々は、アフガニスタンの首都カブールに大使館を置いたままにしている。2月のウクライナ侵攻以降、厳しい経済制裁を受けているロシアは、タリバンとの貿易交渉も続けてきた。
送金には第三者の助けが必要
カブールに本拠を置く民間テレビ局TOLOニュースによれば、アフガニスタンはすでに食料と石油の大部分をロシアから調達しており、両国の貿易額は年間2億ドルに達している。TOLOニュースは、アフガニスタン商業投資会議所の情報として、ロシアはすでに、他国より安い小麦や石油をアフガニスタンに提供していると伝えている。
ロシアにとって石油の輸出は、経済の命綱だ。フィンランドのエネルギー・クリーンエアー研究センターの報告書によれば、ロシアはウクライナ侵攻後の100日間に、化石燃料の輸出で約930億ドルの収入を得た。主として中国とインド向けのものだという。ドイツ、イタリア、オランダ、フランス、ポーランドなどがなおロシアにエネルギーを依存していることも貢献したという。
「それでも、多くの国や企業がロシアからの輸入を回避したため、5月の輸入量は侵攻前と比べて15%ほど減少した」と、報告書は述べている。
タリバン政権のアフガニスタン商工省代理公使を務めるヌールディン・アジジはTOLOニュースに対し、ほとんどのアフガニスタンとロシアの銀行は制裁下にあり、金銭のやり取りについては第三国が手助けを借りることになると話した。
「技術チームの一部はまだロシアに滞在しており、どのような送金方法があるかなど、詳細を詰めようとしている」
(翻訳:ガリレオ)
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら