最新記事

中台関係

中国、軍事演習重ねて台湾中間線を「無実化」 注目される米国の対応

2022年8月27日(土)12時05分

中国はずっと中間線を戦術的な立場から事実上受け入れていたが、2020年に外務省の報道官が「存在しない」と明言。国防省と国務院台湾事務弁公室も同調した。

ここ数日は、中国と台湾のフリゲート艦や駆逐艦が互いに追跡行動を実施。中国艦艇は台湾艦艇の隙を突いて、中間線を越えようと動き回っている。

今月に入ると、中国空軍の戦闘機も中間線を越えるようになった。短時間の出来事とはいえ、過去にそうした動きは滅多に見られなかった。

米政府は深刻視せず

台北のシンクタンク「国家政策研究財団」の安全保障分析専門家は、中間線という暗黙の合意が崩れ、偶発的な衝突のリスクが高まっていると指摘。台湾の軍と沿岸警備隊は中国軍からのより複雑な挑戦に対応できるよう、権限を拡大して法的保護を強化する方向で見直されるべきだとの考えを示した。

数週間以内には、米国の軍艦が再び台湾海峡を通航する予定になっている。ただ、米艦艇が中国艦艇の中間線越えに異を唱えるとは期待できない。

3人の米政府高官は、中国による中間線越えは戦術面で大した意味はないと一蹴。そのうちの1人は、ロイターに「中間線は象徴的な仮想のラインで、(中国が)台湾を少しばかり侮辱しているだけの話だ」と語った。

これらの高官によると、米国は中間線を絶対に維持する、ないしは中国の行動を中間線より自国側に押し戻すといった必要性をほとんど感じていないという。

米海軍大学院の学者、クリストファー・トゥーミー氏は中間線について、米海軍は法的な仕組みというより、あくまで「政治的なこしらえ物」とみなしていると断じた。

トゥーミー氏は、その危険性を過大視すべきではなく、台湾海峡は国際海峡として今後も承認され、利用されると予想。中国が人為的に引かれたラインの両側で行動しただけで、何らかの軍事作戦につながる公算は乏しいと述べた。

(Yimou Lee記者、Greg Torode記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は大幅続落で寄り付く、米株急落の流れ引き継

ビジネス

2月実質消費支出、前年比-0.5%=総務省(ロイタ

ワールド

日米韓、エネルギー協力の強化で合意 3カ国外相共同

ワールド

ロシアはエネ施設停戦に違反、米国務長官にウクライナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 3
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中